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民間で活躍している人こそ、政治の世界に入ってほしい ~日本維新の会~

2022年夏の参院選で「日本維新の会」(以下、維新)は改選議席を倍増させた。躍進の原動力になった同年3月作成の「党の中期経営計画」には、地方議員を現在の1.5倍の600人以上にするという目標が盛り込まれている。目標達成の手段のひとつが候補者擁立に向けた「人財発掘プロジェクト」だ。日本維新の会幹事長の藤田文武衆議院議員と、民間から政治の世界に転身した松本みつひろ杉並区議が、人材発掘プロジェクトや政治家の使命について語り合った。

人財発掘プロジェクトとは

【藤田】 政治の世界の常識は世間の非常識といわれますが、私たちは既存政党とは違います。まず、この点から変えたい。民間感覚の政治を実現したいのです。しかし、政治の世界は一般の方は入りにくい。でも、暮らしに直結している。そこで、多種多様な方々が政治の世界に入ることが、政治を変える第一歩になると考えました。政治に接点がない方、政治の世界から遠い方、このような方々に政治に目を向けてもらい、私たちの仲間になってほしいのです。これが「人財発掘プロジェクト」の原点です。人こそ財産なのです。プロジェクトでは、「維新ご当地政治塾」を各地で開くとともに、「維新政治塾オンライン」には全国から塾生が集まっています。政治に関心を持つ方々が参加され、この中から候補者として出馬してくれる方たちも多くいらっしゃいます。重要なのは在野の方々です。経営者、サラリーマン、OL、主婦であってもいい。政治に関心を持ち、ここがおかしい、ここを変えたいという意欲があれば、政治は変えられる。それを維新で体感していただきたいのです。政治家への道はとても高いハードルではありません。むしろ、市民の皆さんでつかみ取って、政治を変えることが大切だと思っています。松本さんは人財発掘プロジェクト以前から活動していた方ですが、まさに私たちがこのプロジェクトで求める人材そのものといえます。

なぜ維新の会から政治の道を志したのか

【松本】 私はリクルートで働いていました。ビジネスマンとして、やりがい、誇りをもって仕事をしていました。2012年に結婚し、その後なかなか子どもができませんでした。不妊治療を受けましたが、当時の助成は世帯所得730万円未満が補助の対象。妻も働いており適合しません。この条件は相当に厳しいのです。そこで、住んでいた杉並区の制度で利用できるものがないかと探しました。しかし、例えば相談窓口にしても平日の予約制。これでは普通のサラリ-マンには無理です。結局、私たちが利用できる制度はありませんでした。18年に2人の子どもに恵まれましたが、治療費に約800万円かかりました。私たちでも使える制度があれば、このお金は他の用途に使うことができました。税金を払っていても、肝心なときには助けてもらえない。何の役にも立たない。これでよいのだろうか、と考えてしまいました。同じような疑問を抱く方もいるはずです。これが政治を志すきっかけです。

維新については17年に政策を見る機会がありました。不妊治療について当時の私は保険適用を考えていましたが、維新の掲げていた政策は無償化でした。自分の考えよりも、より高いところを目指しており、掲げるだけではなく財政的裏付けも示していました。そこで維新の門をたたいたのです。そもそも「所得の多い人は強い立場である」という制度設計がおかしいのではないかと感じます。リクルートは事業により社会をよくしていこうという会社でした。私は新築マンションの営業を担当しており、「どういう形でアピールしたらよいのか」を考えて仕事をしていましたが、新築マンションを購入できる方は、それほど多くはありません。ごく一部の人のために働いているのではないかと、物足りなさも感じ始めました。もっと根幹的な仕事をしたい、社会の課題を解決したいと考えました。

【藤田】 松本さんのように民間企業で活躍していた方が、政治家というキャリアを選択肢に選んでくれたことは、とてもありがたいことです。自分の人生を社会の課題解決のために使いたい、そう考える方々が集う政党でありたいと思っています。

【松本】 埼玉県の出身ですが、維新は結成のときから注目していました。政治を変えてくれる期待感がありました。維新は何かと、大阪、大阪と言われています。しかし、大阪を一気に改革して、成功すれば東京も日本も変えられるという考えでしょう。このアプローチは正しいと思います。大阪で成功事例を積み重ねて全国を変えていくのです。

【藤田】 大阪でやってきたことをそのまま全国でやるのかといわれることがありますが、大阪はモデルのひとつです。政治が専門の人ばかりになり、その人たちだけで長く続けると、悪しき慣習が続くことがあります。しかも、政治にどっぷりつかってしまうと、それが心地よく感じてしまう。大阪ではこの点を変えました。多くの民間の方が政治に参入することにより改革が進み、政治の世界の当たり前を変えてきました。勇気を持って前に進むことができたのです。この方法は全国のさまざまな市町村で応用できると思います。一点突破、全面展開というイメージですね。

政治家として、今後やりたいことは

【松本】 民間企業では売り上げなどの定量的な指標があって、その達成に向けて努力します。目標ははっきりしています。しかし、政治や行政は、その点がはっきりしておらず、もやもやしています。正しい努力をすれば酬われるという考え方が最近、揺らいでいるように感じます。私は努力した人が酬われる社会にしていきたいです。民間での正義と、政治としての正義の距離を縮めていきたいと思います。

【藤田】 民間企業には、わかりやすい目標があってそれに向けて邁進していきます。政治でもシンプルに考えたいと思い、中期経営計画を若手国会議員、地方議員でつくりました。①2022年夏の参院選で21人以上、②2023年の統一地方選挙後で地方議員600人以上、③次期衆院選で野党第1党――が3本柱です。政治の世界では数値目標を示さないのが普通です。これは目標を実現できなかったときに責任をとりたくないからです。しかし、民間では多くの企業がやっていることです。結果にコミットし失敗したら責任をとる。まず、この点から変えたかったのです。

【松本】 民間企業であれば、事業部長や取締役といった幹部職を40年もやることはないでしょう。でも、政治の世界では長い方々がいる。なぜ、超長期の政権、在席が可能なのか。目標をたてて成功すれば評価されるという価値基準から、逃げ続けているからではないでしょうか。維新は一定の段階で勇退し、若い人たちに道を譲ります。維新の成長により政治が変わると信じています

維新の会に向いている人材とは

【藤田】 新しいアイデアを出せる人、そういう人が集い、楽しめる政党でありたい。例えば、子育て中の議員にはベビーシッター代を補助しています。これは女性候補の党代表への直訴から始まり、意見をいただいてから1カ月で実現できました。地方議員も調査活動をしたいが、費用が捻出できないので、党で助成してくれないかという訴えもありました。そこで、コンペ方式を導入し、優れているアイデアを吸い上げる工夫をしました。今までの常識では「前例がないからだめ」ということも多かったのですが、僕たちはいいものだったらチャレンジしたい。たとえ失敗しても、チャレンジできることが重要だと考えています。人財発掘プロジェクトも新しいアイデアのひとつです。新人採用は企業では最も重要なことでしょう。これは私たちでも全く同じです。政党においては、人そのものが商品といえるのです。企業では就職説明会をやっています。オンラインや対面などさまざまなアプローチで取り組み、間口は広くハードルを下げています。政党でも同じようによってみようという企画でした。約250人が集まり、その半数近くが候補者選考に進んでくれました。とてもよい企画だと思っています。

人財発掘プロジェクトの方々にエールを

【藤田】 維新はチャレンジ政党です。それゆえ、最初の階段を上がるまでは大きな苦労もあるでしょう。さらに、地盤、看板、組織もない。しかし、その勇気ある一歩が、地域や歴史を変えるかもしれません。そう考える人に、私たちの仲間になってほしい。自分の人生を投資するのだから、それが何倍にもなって社会に貢献できるようになることを目指して欲しいです。

【松本】 人生は一度きりしかありません。私はリクルートの社員のままで過ごした方が、家族の幸せを考えれば、よかったかもしれません。でも、死ぬ間際になって「あのときチャレンジしておけばよかった」という悔いが残ったのではないかと考えます。チャレンジできずに悔いを残して死ぬのはごめんです。私は社会のために自分の人生を使いたいし、同じ思いの人と人生を過ごしたいです。現在、1期目ですが、次で落選してしまっても、政治の世界で得たものを活用して、民間で十分にやっていける自信があります。この4年間はとても有意義でした。

【藤田】 民間で活躍している人こそ、政治の世界に入ってほしいです。選挙で勝つのは簡単でないですし、もちろん運もあるでしょう。もし落選しても、民間で活躍している人であれば、また元に戻り再び活躍できます。自分の食い扶持のために政治家をやるという人ではない方を求めています。目の前の人を救いたい、多くの人によりよい暮らしをしてほしい。そういう公欲を持つ方々と一緒になり、勇敢に立ち向かう集団でありたい。この点に共感してもらえるのであれば、既成の大政党ではなく、ベンチャースピリットを持つ私たちの仲間になってほしいと強く望みます。

プロフィール:藤田文武(ふじた・ふみたけ) 1980年12月、大阪府寝屋川市生まれ。筑波大体育専門学群卒業後、高校教員やベンチャー企業の役員を経て独立、起業。17年、衆院選で大阪12区から維新公認で出馬するも落選。19年1月、大阪12区の補欠選挙に出馬し、初当選。21年10月の衆院選で再選。同年11月、新幹事長に就任。

プロフィール:松本みつひろ(まつもと・みつひろ) 1983年9月、さいたま市生まれ。早稲田大法学部卒業後、リクルートに入社。「SUUMO」で約9年間ITの営業部門を歴任し、現在杉並区議会議員。日本維新の会広報局、東京維新の会事務局長兼政務調査副会長。文化芸術・スポーツ・まちのにぎわいに関する特別委員会委員長。東京若手議員の会副代表(市部エリア、性教育・不妊治療プロジェクト担当)、子どもの事故予防地方議員連盟事務局長。

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