米中の火種2 香港 ドルペッグ消滅で金融街は致命傷=遊川和郎
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香港が米中対立の最前線になっている。発端は5月28日に中国の全国人民代表大会(全人代)が「香港国家安全法」の制定方針を採択したことである。同法は国家分裂(香港独立)や政権転覆、海外勢力との結託、テロ行為を取り締まりの対象とし、本来香港基本法により、香港政府による制定が義務付けられていた。しかし猛烈な反対を伴う同法を成立させるのは弱体化した香港政府には荷が重すぎた。中国政府は頼りにならない香港政府を見限って自らが制定することとした。同法があれば、米国を引き込んで北京と対抗しようといった活動はもちろん、独立の主張をはじめ、反政府的な行動は抑え込める。
同法の対象は活動家による過激な行為ばかりとは限らない。一般市民のデモや集会参加、自由な言論にも網がかかる可能性がある。何しろ中国のことなので事前に明確な基準が示されるかは未知数で、市民は現実に移民という選択肢を選ぶかもしれない。
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週刊エコノミスト
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