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投資・運用 日本経済総予測2025

2年目の新NISA 投資目的を見すえ専門家に相談も 松本学

 新NISAでは指数に連動するパッシブ運用の投信が人気だが、2年目は自身の投資目的(ゴール)を見据えた長期目線での分散投資を考えたい。

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 新NISA(少額投資非課税制度)が今年1月から始まり、制度の恒久化に加えて投資枠も大幅に拡充されるなどした。そのインパクトは大きく、今年は公募投資信託への資金純流入額が10月までで15.2兆円となり、2019~23年の5年間の平均資金流入額8.9兆円と比べ大幅に増加した。資金流入先の8割強が新NISA対象の投信で、NISAは幅広く浸透したといえる。

 投資先としては特に、株価指数などに連動する「パッシブ運用」を取る外国株式のインデックス投信が人気を博したが、日を追うにつれて株価指数の変動以上のリターンを目指す「アクティブ運用」投信や、株式以外の債券、REIT(不動産投資信託)、株式や債券などを一定の割合で投資するバランス型投信にも資金が入った。

 具体的には、資金純流入額に占めるアクティブ投信の比率は1月に2割強だったが、9月には5割、11月までの通年で4割程度になっており、徐々に投資先の分散が進んだとみられる。個々の投資家のレベルでも資産クラスや地域、業種、セクター、投資スタイル、時間などを多様化する分散投資は非常に重要で、目的は投資先・投資タイミングの集中により極端な損失が発生するリスクを抑制することにある。

 インデックス投信は市場全体に投資するため、分散が効いているというイメージがあるが、実は一部の大型株の比率が高い。時価総額トップ10銘柄がインデックス全体の時価総額に占める割合は、例えば代表的な世界株指数となる「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI、構成銘柄数約2700)」で約20%、米主要企業500銘柄で構成する「S&P500」で約35%となっている。

 同じ株式の投信でも、自分が興味を持ったアクティブ投信をインデックス投信に組み合わせることで銘柄集中リスクの分散を図ることも可能だし、債券やREITといった別の資産クラスとの組み合わせ、あるいは複数資産に投資するバランス型投信に投資することでポートフォリオ全体のリスクを抑えることも可能になる。新NISA2年目はぜひ、個人投資家は自身の投資目的(ゴール)を見据え、長期的な視点での分散投資に挑戦してほしい。

目的に見合ったリスクを

 ただし一方で、投資に伴うリスクはリターンの源泉でもある。分散投資と並び非常に重要なのは、投資のゴールに見合ったリスクを取るということだ。新NISAは投資金額の枠が広がり、期間が無期限に、また投資枠の再利用も可能になったことで、結婚資金、子どもの教育費、リタイア後の生活資金といった幅広い目的のために利用できる。だが各目的における支出金額の確実性、支出が発生するまでの時間、達成できない可能性をどの程度許容できるかなどで、必要なリターンを得るために取るべきリスク水準は異なる。

 例えば、リタイア後の生活資金のような、長期間にわたるゴールの場合はどうか。若くて時間のある時期には、つみたての利用で株式中心の投資を時間分散しながら行うことが適していよう。一方、リタイア間近になればリスクをより抑え債券メインに株式を加えたような運用が適すると考える。定期的な運用内容の見直しも必要だ。

 ファイナンシャル・アドバイザーなどの専門家への相談も検討したい。当社が23の国や地域で行った調査によると、お金に関するアドバイスの入手先として金融機関や専門家を挙げる国が多い一方、日本はSNS(ネット交流サービス)の人気が高い(図)。日本でも官民で設立した金融経済教育推進機構(J-FLEC)が今年8月から、中立的な立場から個人に寄り添ったアドバイスを行う制度を本格稼働させた。

 個々人に合わせた専門家からの助言と新NISAの活用で、ゴールに見合った投資の実現に近づけたい。

(松本学〈まつもと・まなぶ〉フィデリティ投信商品開発部長)


週刊エコノミスト2024年12月24日号掲載

日本経済総予測2025 新NISA 個人の資産運用の姿が一変 アクティブ増加で分散も進行=松本学

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