締め切り迫る! 12月26日まで。新規会員は2カ月無料「年末とくとくキャンペーン」実施中!

経済・企業 日本経済総予測2025

生き残れるのか日産 深刻な“売れる技術”の欠如 河村靖史

生き残りの岐路に……(神奈川県横須賀市にある日産自動車の追浜工場)(Bloomberg)
生き残りの岐路に……(神奈川県横須賀市にある日産自動車の追浜工場)(Bloomberg)

 業績が急速に悪化する日産自動車。中国や米国での販売台数が低迷し、内田誠社長CEOの責任を問う声も上がる。

>>特集「日本経済総予測2025」はこちら

 日産自動車が再び経営危機に見舞われている。2024年4~9月期連結業績の当期利益は、前年同期比93%減の192億円と大幅減益となった。7~9月期では93億円の赤字だ。業績不振を受けてグローバルで生産能力の2割削減や従業員9000人の削減などのリストラ計画を断行する。8月の時点で3000億円を予想していた通期業績見通しの当期損益は、「未定」に修正した。ヒットが見込まれる新型車も見当たらない状況で、業績回復の道は険しい。

 日産の業績が悪化しているのは主力市場である中国や米国での販売戦略が失敗しているからだ。4~9月期の中国販売は同5.4%減の33万9000台と低迷。中国はBYDなどの地場系自動車メーカーを中心に値下げ攻勢を仕掛けて販売を伸ばしており、日産に限らずトヨタ自動車、ホンダなど、日系メーカーは軒並み販売が低迷しシェアを下げている。それでも日産だけ業績不振が際立つのは、トヨタやホンダが中国のマイナスを補う北米で稼げていないからだ。

 日産の4~9月期の北米販売は同1%減の62万2000台と小幅なマイナスだったが、問題はその中身だ。日産は米国で主力のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ローグ」をはじめ、ほとんどのモデルで販売が苦戦している。このため、インセンティブ(販売奨励金)を積み増しており、これが北米事業の収益を圧迫している。トヨタ、ホンダも米国市場でインセンティブは上昇しているものの、日産と比べて影響が少ないのはインセンティブを抑えられるハイブリッド車の販売を増やして収益を確保しているからだ。

軽視された研究開発

 日産は経営再建策として人員削減などで固定費を削減して年間350万台の販売でも安定的な収益を確保できる体制の構築を目指す。内田誠社長CEO(最高経営責任者)は「スリムで強靭(きょうじん)な事業構造に再構築し、商品力を高め、再び日産を成長軌道に戻す」と再建に自信を示したが、周囲の目は懐疑的だ。

 日産車の販売低迷は、販…

残り774文字(全文1674文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月24日号

日本経済総予測202516 インタビュー 宮川努 学習院大学経済学部教授 戦後80年の日本経済「何もしなければ80年前に逆戻り 躍進の日本サッカーをモデルに」20 チーフエコノミストに聞く 2025年日本経済見通しアンケート■末廣徹/武田淳/酒井才介/斎藤太郎/青木大樹22 植田日銀 金融正常化へ「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事