マンションは新築も中古も高値続く 利上げでも供給減で 渡邊布味子
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用地の仕入れ競争や建設費高騰で高値が続くマンション市場。中古市場では若干の変化も見られるが、供給が低水準のうちは高値を維持しそうだ。
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東京23区では2024年上半期(1~6月)、発売された新築マンションの平均価格が1億円を超えた。全国の都市部でも“億ション”は増えている。デベロッパーが競って用地を取得し、地価も上昇傾向だ。
首都圏新築マンションの平均価格は10月に9239万円(前年同月比40.7%増)、発売戸数は1833戸(同23.4%増、ただし前年同月は前年比46.3%減と少なかった)となった。10年前に比べ平均価格は約2倍、発売戸数は4割減で、発売戸数が減少する一方で、価格は高騰を続けている。
また、中古マンションの成約価格(その月の成約物件の価格の平均)も20年6月から24年7月までは50カ月連続で上昇している。
国土交通省の23年度の「マンション総合調査」によると、マンションに「永住するつもりである」と回答した回答者は60%(10年前より8%増、20年前より17%増)に高まっている。デベロッパーも魅力的なマンションを建設すべく、優良用地を競って購入してきた。インバウンド(訪日外国人客)が激増している昨今では、駅近などでホテル用地とも競合する。
半面、高まった用地購入費用はマンション価格に転嫁され、近年の建築費の高騰も一段の上昇の要因となっている。億ションが首都圏全体のマンションに占める割合は、新築で16%(24年10月発売、コロナ禍前となる19年同月から10%増)、中古で7%(24年7~9月成約、19年同期比5%増)だ。
高額物件の売れ行き鈍化
しかし、将来の金利上昇が意識されるようになってからは、やや様相が異なるようだ。注目は、首都圏で中古マンションの24年10月の成約価格が4739万円(前年同月比0.5%減)となる一方、新規登録価格(その月の売り出し登録物件の価格の平均)は4703万円(前年同期比13.2%増)となったことだ。24年4月にはその差は824万円となっていたが、24年10月は36万円に縮まった。
つまりこ…
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週刊エコノミスト
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