トランプ2.0は金融や防衛に追い風 日経平均は4.6万円以上も 広木隆
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2025年の株式相場で考慮すべき事柄の筆頭はトランプ氏の政策が世界と日本に与える影響だ。
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トランプ米次期大統領の政策にはインフレ再燃や財政収支の悪化を招くリスクがある。減税や規制緩和は米国の景気を更に刺激し、インフレ圧力を高める。不法移民の送還も労働力供給の制約となり、物価に悪影響がある。トランプ氏は着手する政策を選別すると考えるのが道理だろう。
関税政策は最たるものだ。自国経済への影響を見極めるには相当な分析が必要になるが、トランプ氏は中国と戦う姿勢を見せることで支持者の歓心を買おうとする。実体経済への影響とイメージ戦略のどちらを優先するかで、政権内で議論になり、意思決定にはそれなりの時間がかかるだろう。最終的には、第1次政権時と同様、適用除外など抜け道を用意し、関税率がそれほど高まらないこともあり得る。関税政策の全容と影響が明らかになるのは2025年後半ではないか。
そう考えると、世界の経済成長率は25年、従前通りに3%強と仮定するのが適当か。世界的にインフレが鎮静化し、中央銀行は金融緩和を進め、グローバル景気は緩やかに回復基調をたどるだろう。日本の上場企業の業績は底堅く推移する。東証プライム市場に上場する企業は24年度中間決算時点で4年連続最高益だが、本決算もこのまま着地して、26年3月期は5年連続の最高益更新を目指す。上場企業全体の純利益の伸びは10%前後となるのではないか。
すでに製造業は業績不振が鮮明になっている業種もあり、企業ごとに回復の度合いが異なるだろう。サービス業は堅調さを維持すると思われるが、ポイントは価格転嫁が奏功するかどうかだ。物価と賃金上昇の好循環がカギを握るという観点からも、25年春の賃上げ動向を注視したい。
M&Aが活性化
注目セクターは金融だ。金利上昇や新NISA(少額投資非課税制度)など良好な国内環境を背景に好調な業績が続くだろう。米国の規制緩和も追い風になる。次期政権が反トラスト法(独占禁止法)の運用強化を撤回すれば、M&A(企業の合併・買収)が活性化するだろう。特に金融や暗号…
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週刊エコノミスト
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