トランプ政策に強い日本株10銘柄はこれだ 米依存度低いスズキ 山本伸
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トランプ政権は関税を引き上げ、同盟国に防衛費の増額を要求するだろう。好影響が及びそうな日本企業を探った。
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まず、注目すべきは、米次期大統領のトランプ氏が推し進める政策の悪影響を受けにくい銘柄だ。
トランプ氏は輸入品の関税を大幅に引き上げると明言している。中国には60%、メキシコとカナダには25%、それ以外の国には10〜20%を課すと発言した。米政府機関の国際貿易委員会の資料によれば、米国の関税負担率(輸入総額に占める関税額)は1930年代に最高19.8%に達したが、47年以降は一貫して10%を下回り、2021年は3%だった。大恐慌時代並みの高関税を課す可能性があるということだ。
日産やトヨタに逆風
10月にはメキシコ生産車に「200%か500%」の関税をかけると語った。日本貿易振興機構の調べでは、メキシコが23年に輸出した自動車(大型バス・トラックを除く)のうち、米国向けは77.4%を占めるほど大きい。トランプ氏がメキシコ生産車に高い関税をかければ、同国生産のメーカー別順位10位以内に入る日産自動車、トヨタ自動車、マツダ、ホンダには逆風だ。
一方、スズキは12年、米国での四輪車販売から撤退した。二輪車や船外機などを引き続き米国で販売するものの、24年3月期売上高に占める米国・カナダの比率は2%にすぎなかった。同年4〜9月期は最大市場のインドが好調だったことなどを受け、本業のもうけを示す営業利益は前年同期比40.7%増だった。
防衛関連銘柄も有望だ。前述の通りにトランプ氏が高関税を導入すれば、中国をはじめとする国々も追随する恐れがある。世界貿易機関(WTO)は機能しなくなり、戦争が起きるリスクが高まる。そうなれば、軍事力を強化する国々が増えるだろう。
日本もウクライナ戦争が勃発した22年、当時の岸田文雄首相が防衛関連予算を「27年度までに国内総生産(GDP)比2%に増やす」と決め、24年度は1.6%に達した。単純に考えれば、防衛費は22年度から5年で2倍に膨れ上がり、防衛関連企業のもうけは増える。防衛施設庁の資料によれば、同企業の営業利益は平均8%ほどだったが、23年度以降は最大15%に高めるという。
三菱重工業、IHI、川崎重工業の防衛関連3社は株価が大きく上がっている。新型コロナウイルスの感染が急拡大して株安に見舞われた20年3月19日から24年11月19日にかけて、株価は三菱重工9.3倍、IHI8.0倍、川重4.4倍にはね上がった。
三菱重工は火力発電プラント事業も有望だ。ロシア軍が22年にウクライナの原子力発電所を攻…
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週刊エコノミスト
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