新築を買う 郊外・駅徒歩8分以上 埼玉・千葉に有望エリア=桜井幸雄
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首都圏で不動産価格が上昇するとき、「値上がりの連鎖」は特殊な動きをする。都心から始まる価格上昇は神奈川県に波及し、北上して、東京都下、埼玉県に及び、千葉県に下りてきて一周となる。この動きを地図の上でなぞると、ひらがなの「の」になる。不動産業界では「『の』の字の法則」と呼んでいる。
「の」の字で価格上昇が広がるとき、「千葉県まで値上がりが波及すれば、そこで終息する」というのが従来の経験則である。ただし、平成バブルの際は、千葉県まで来てからもう一度都心部の不動産価格が値上がりし、「の」の字がもう一周した。そして今、都心部の新築マンション価格は、平成バブル期の最高水準をあっさり超えて、下がる気配がない。現在は、バブル時代同様に経験則が通用しない不動産市況に入っているとみれば、都心部の高止まりが、神奈川、都下、埼玉、千葉に広がる可能性もある。
では、現在の「の」の字はどこまで進んでいるのか。神奈川、都下、埼玉ではすでに駅近新築マンションが高価格化し、武蔵小杉や横浜、浦和といった拠点駅周辺では70平方メートルの3LDKが7000万円の水準まで達しているケースが多い。「の」の字は千葉県内に入ったところと考えられる。千葉県の東京寄りである市川や船橋、習志野では、駅近・新築マンションの3LDKが7000万円の水準に入った。
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週刊エコノミスト
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