米一流大学の財務戦略 世界トップの競争力支える 寄付と基金運用収益=片山英治
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日本の大学は経済成長や地域創生、産業競争力強化等さまざまな役割に期待が寄せられている一方、人口の少子化の急速な進展に伴い、困難な環境変化に直面している。こうした環境変化への対応には財源の確保が不可欠であることから、大学が社会の負託に応えるための財務戦略の考え方を3点挙げておきたい。
第一は「継続的な収入増加策」だ。大学は教育研究の質向上と学生支援を追求し続けるため、支出増の圧力に常にさらされ続ける。このため、志願者の確保に加え寄付や資産運用、収益事業等の収入増加策を継続的に講じない限り、収支が赤字に陥りやすい。
たとえば米国のハーバード大学の収支構造(表)をみると経常収入が55億ドル、経常支出が52億ドルで収支差は3億ドルの黒字だが、学生からの授業料・手数料12億ドルと政府や企業からの委託研究9・4億ドルでは支出の4割程度しかカバーされておらず、卒業生等からの寄付と基金(含む投資収益)からの繰り入れによって収支尻が合っている状況がうかがえる。
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週刊エコノミスト
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