週刊エコノミスト Online日本経済総予測 2020

インタビュー リチャード・クー「今こそ財政出動と構造改革を」野村総合研究所主席研究員、チーフエコノミスト

    「公共投資の必要性を主張したら、テレビに出られなくなった」(撮影=中村琢磨)
    「公共投資の必要性を主張したら、テレビに出られなくなった」(撮影=中村琢磨)

    「バランスシート不況」を脱した今こそ、財政出動と構造改革を断行すべきと主張する。日本を代表する国際派エコノミストに日本再生の道筋を聞いた。

    (聞き手=稲留正英/浜田健太郎/岡田英・編集部)

    リチャード・クー 3年前から、新興国に追われる立場の先進国のジレンマを「被追国」という言葉で説明している。中国をはじめアジアの国々に追われる日本もその一つだ。特徴は、国内よりも海外で投資したほうが高収益だから、国内では企業の借り入れと投資が増えないことだ。企業はカネを借りないから、金利がゼロやマイナスになっても国内では投資が増えない。消費と投資が伸びて国民全員の所得が上昇し、所得格差が解消される「黄金期」が終わると、どの国も被追国の悩みに直面する。

    クー 私はQQE(量的・質的緩和=異次元緩和)が始まった当初から、「絶対にうまくいかない」と主張していた。民間がカネを借りないのに金融政策で経済を刺激しようとしても、銀行まではカネが行くが、そこから外には出ない。銀行はカネを貸すのが仕事だが、ばらまくことはできないからだ。実際に日本の民間の借り入れは過去30年間で25%の増加、つまりほとんど伸びていない。

    「日本は黄金期にいる」と考える人がマーケットに多くいるので、量的緩和をすると為替が円安に振れ、株価が上昇し、実体経済に若干の影響はある。だが、最近は市場参加者も現実を理解してきて、金融政策に対する反応は以前に比べると小さくなっている。

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