週刊エコノミスト Online世界経済総予測 2020

米中貿易戦争 米国の方針転換で「合意」も 分断に歯止めは掛けられない=今村卓

    米中の溝は深い(Bloomberg)
    米中の溝は深い(Bloomberg)

     米中貿易協議は「第1段階の合意」に達した。米中双方は2019年12月15日に予定していた追加関税の発動を見送り、エスカレートする一方だった米中貿易戦争に初めて歯止めが掛かった。世界経済にとっても停滞懸念を和らげる変化だ。

     とはいえ、今回の合意の柱は中国による米国製品の大量購入と米国の関税の一部撤廃にとどまる。米国は第1~3弾の2500億ドル分を維持し、中国の関税引き下げの要求に部分的にしか応じなかった。合意には中国の知的財産の権利保護の強化や技術移転の強要禁止が盛り込まれたが、具体策は乏しい。しかも、米国製品の大量購入は規模が大きすぎて達成は困難との見方が多い。米国製品の輸入を2年間で2000億ドル増やす、農産物輸入は年400億ドルに拡大するという数値も米国側が発表しただけであり、中国は言及していない。

     これだけ協議が難航し、限定的な合意にとどまった理由の一つは米中の関係に変化が生じていることだろう。従来は景気減速が止まらない中国が守りの姿勢だった。中国は米中貿易戦争の長期化に耐えられず譲歩に追い込まれるとの見方だった。逆に米国は景気が堅調で株高であり、貿易戦争が多少長引いても構わない、むしろ中国に圧力をかけられる攻めの姿勢の立場だった。

    残り1722文字(全文2250文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    12月15日号

    税務調査 コロナでも容赦なし!16 コロナ「中断」から再開 効率化で申告漏れ次々指摘 ■種市 房子19 元国税局芸人に聞く! さんきゅう倉田「手ぶらでは調査から帰らない」23 国税の「最強部隊」 「資料調査課」の実態に迫る ■佐藤 弘幸24 「やりすぎ」注意! 死亡直前の相続税対策に相次ぎ「待った」 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事