三つのリスク 欧州銀行の弱体化、米債券バブル、新興企業バブルが世界を覆う=山岡浩巳
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2020年の世界経済を展望すると、欧州銀行の弱体化や世界的な企業債務の拡大、とりわけ米国の債券バブル、スタートアップバブルへの警戒感が各国で強まっている。
歴史を見ても、経済危機は常に、(1)過度のリスクテークが正当化され、(2)政策対応が遅れ、(3)市場の期待が剥落した時──に起こっている。そして、(1)、(2)はほとんどの場合、債務の拡大を伴う。日本の資産バブルや世界金融危機前のサブプライムローン拡大がそうだったように。先進各国で大規模な金融緩和が10年以上続く中、(1)、(2)、(3)のプロセスを再びたどっていないか、十分注意する必要がある。
欧州中央銀行(ECB)が19年11月に公表した金融安定報告書(FSR)は、相当部分を欧州銀行の収益性低下の問題に割いている。欧州がまず採用し、次いで日本も導入したマイナス金利政策は、必然的に銀行の運用利回りを低下させる。一方で、銀行が調達金利を引き下げられなければ、この政策は結局、銀行の自己資本を削って景気刺激に充てる形になってしまう。
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週刊エコノミスト
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