欧州でもジャンク債バブル 借り入れ比率は過去最高に=中空麻奈
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世界的な低金利が各地で副作用を起こしている。マイナス金利政策を導入している欧州では、大手銀行をはじめ金融機関の収益性の悪化が激しく、2019年に入りドイツ銀行が約1.8万人、英HSBCや伊ウニクレディトがそれぞれ約1万人のリストラ策を相次ぎ発表した。
一方、高い利回りを求めて社債市場には投資資金が流入し、スプレッド(国債との金利差)が縮小して過熱感が出ている。投資家の勢いに押されて発行市場も拡大し、社債発行量は右肩上がりに増加している。発行体と投資家の双方で現在はバブル的様相が見られる。例えば、欧州鉄鋼大手のアルセロール・ミタルは、格付けがトリプルBマイナスと投資適格の最低水準にもかかわらず、投資家の需要が積み上がり、19年に入って25億ユーロ(約3000億円)の起債をした。
投資家の間では足元、投資不適格債券(ジャンク債)への投資意欲が広がっている。投資適格債券の価格はジャンク債を上回るのが通常で、価格差の拡大は投資適格債の価格上昇、縮小はジャンク債の値上がりを示す。19年初から世界的に投資適格債の価格上昇が進んだが、8月をいったん天井に価格差は縮小し、ジャンク債への投資意欲の高まりが見てとれる。
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週刊エコノミスト
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