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激変の穀物市場 “米国1強”時代の終わり 在庫率低下で不安定化加速=柴田明夫

ウクライナなどに押される米国のトウモロコシ(イリノイ州)(Bloomberg)
ウクライナなどに押される米国のトウモロコシ(イリノイ州)(Bloomberg)

 かつてトウモロコシといえば米国が圧倒的シェアを持つ作物だった。米国は2007/08年度(07年後半~08年前半)の世界のトウモロコシ生産の4割強、輸出の約6割を占めていた。しかし、ここ10年そのシェアは低下している。米農務省によれば、19/20年度の世界トウモロコシ生産量11億トン強のうち米国のシェアは31%にとどまっている。世界のトウモロコシ輸出量も米国のシェアは28%まで低下した。世界の小麦市場でも生産・輸出国の分散化が進んでいる。

 現在、米国はかろうじて世界最大の穀物生産・輸出大国の地位を維持しているが、いまや世界の穀物市場で米国1強時代は終わりを告げようとしている。代わって生産大国として台頭してきたのが中国、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナなどだ。

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