グローバリズム ITバブル崩壊を彷彿させる金融市場=糸島孝俊
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米国の景気拡大は2019年、11年目に突入した。度重なる金融緩和と年初からのハト派(金融緩和)転換で、米国株価は上昇トレンドとなり最高値を更新している。こうして株価と景気が好調にもかかわらず、債券市場では景気後退の予兆として注目される3カ月物米財務省短期証券と10年国債の利回りの逆転(逆イールド)が一時的に発生するなど、長期化する強気相場への不安要因が見られることが気がかりだ。過去を振り返ると逆イールドが発生すると、その1~2年後には景気後退が訪れる状況が見られている(図1)。米国大統領選という一大イベントも控える20年は、世界の金融市場にとり相場の転換点になる可能性があるだろう。
足元の米国株が強いのは、もちろん金融政策の転換や米中貿易戦争の改善期待もあるが、実のところは雇用が良く賃金も上昇していて、個人消費が堅調であることを投資家が高く評価しているためだ。失業率は09年10月の10・0%をピークに、足元は3%代半ばの水準まで低下し、賃金も12年を底に前年同月比ベースで上昇基調だ。
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週刊エコノミスト
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