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INPEXが挑むエネルギー構造の変革事業

     

     INPEXは、拡大する国内外のエネルギー需要に応え、今後もエネルギーの安定供給に責任を果たすとともに、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けた長期的な経営方針を策定。さらに、グループ社名の統一と組織体制の強化を目指し、商号も広く海外で使われている「INPEX」に変更した。今後の事業展開について上田隆之社長に聞いた。 

    2050ネットゼロへ5つの事業を強力に推進

     INPEXは今年1月、「今後の事業展開〜2050ネットゼロカーボン社会に向けて」を策定。併せて、4月1日から商号を「INPEX」に変更すると発表した。「今後の事業展開」策定の背景について上田社長は、これまでも常に環境保全を念頭において事業活動を進めてきたが、その上で、「日本政府も2050年までのカーボンニュートラルを表明したことから、私たちも事業におけるさらなる低炭素、脱炭素に向けたエネルギー構造の変革に取り組む、新しい目標を策定しました」と強調する。具体的には、世界全体の平均気温の上昇を抑える目標を定めたパリ協定に則し、気候変動対応目標を設定。2050年までにCO₂(二酸化炭素)排出量のネットゼロを目指すとしている。上田社長は、「既存事業でも生産操業時のCO₂削減は進めていますが、ネットゼロを目指すためにはさらなる取り組みが必要です。そこで、当社の強みである技術や操業経験を最大限に活用し、新たな5つの事業の柱を強力に推進することとしました」と解説する。

    INPEX(国際石油開発帝石)代表取締役社長 上田 隆之氏
    INPEX(国際石油開発帝石)代表取締役社長 上田 隆之氏

    上流事業のCO₂低減や水素事業の積極展開

     5つの柱の1つ目は「上流事業のCO₂削減」で、これは、国内初のCCUS(CO₂の回収・有効利用・貯留)実証などで蓄積した同社の技術的強みを発揮するもの。CCS(CO₂の回収・貯留)技術のCO2回収・貯留に加えて、CCUSではCO₂の有効利用が加わる。「石油や天然ガスは技術的に全埋蔵量を地下から生産することができず、生産終了後もある程度地下に残っています。このため、そうした油ガス田にCO₂を注入し、その圧力で石油や天然ガスを回収する技術として期待されているのです」(上田社長)。同社では、この技術を活用して、国内外の生産事業で操業時に発生するCO₂を地下に圧入することで、安全・確実な貯留と地下資源の有効利用を目指していく。

     2つ目の柱は「水素事業の展開」で、来る水素社会の到来に向け、水素製造・供給事業を展開する考えだ。「特に、天然ガスから水素を作る『ブルー水素』は水の電気分解によるグリーン水素に比べコスト的に優位性があります。そして、天然ガスから水素を製造する際に発生するCO₂は、私たちが持つCCS・CCUS技術を活用することができるので、カーボンフリーのブルー水素を発電に利用したり水素ステーションへ供給することが可能となります」(上田社長)。現在、新潟県柏崎市において同社が国内で生産した天然ガスから水素を製造し、水素発電に利用するのと並行して、水素製造過程で出るCO₂を柏崎の生産終了ガス田に圧入して残存する天然ガスを回収する一気通貫の実証プロジェクト構想を進めている。さらに、海外における大規模な水素事業から国内に水素を輸入する輸送手段として、アンモニア製造や液化水素の事業化なども検討している。水素を液化して運ぶには約マイナス260度の極低温まで冷やす必要があるが、アンモニアはマイナス33度で液化できることから、水素からアンモニアに改質することで輸送しやすくなる。現在、アブダビで生産される天然ガスから水素、さらにはアンモニアを製造し、日本に輸送してクリーン燃料として電力会社に供給する事業が検討されている。

    ネットゼロカーボン社会実現に向けた5つの事業の柱
    ネットゼロカーボン社会実現に向けた5つの事業の柱

    再エネ事業の重点化や新分野事業も開拓

     3つ目は「再生可能エネルギーの取組強化と重点化」だ。「これも、私たちが国内外で培ってきた上流事業の技術や知見を活かすものです」と上田社長が言う通り、同社が持つ石油・天然ガス開発の技術を応用して地熱発電事業や、洋上風力発電事業への取り組みを加速するものである。地熱発電事業では、すでにインドネシアで世界最大級のサルーラ地熱発電プロジェクトに参画している。地熱発電も石油開発も地下にある資源を利用するという点で非常に親和性が高い。洋上風力発電についても国内外で参画を目指しており、「豪州のイクシスLNGプロジェクトで操業する浮体構造物の設計から操業に至る技術や経験を応用することが可能です」(上田社長)。

    インドネシア・サルーラでの地熱発電プロジェクト
    インドネシア・サルーラでの地熱発電プロジェクト

     4つ目の「カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓」では、すでにメタネーションという技術を実証中で、これは天然ガス生産で発生するCO₂と水素を合成して都市ガスの主成分であるメタンを製造するもの。今後、実証プラントをスケールアップして、2030年ごろから合成されたメタンの商業販売を目指す。最後は「森林保全によるCO2吸収の推進」で、森林保全事業を支援することによるCO₂削減と、同時に取得するカーボンクレジットにより排出するCO₂をオフセットする。

     また、販売するLNGにカーボンクレジットを付けることで、顧客がLNGの利用で排出するCO₂を予めオフセットするカーボンフリーLNGとして販売することも可能となる。上田社長は、上流事業を今後も基盤事業と位置づけた上で、これら5つの事業の柱を強力に推進し、2050年のネットゼロカーボン社会実現を目指すとともに、「今後も、より豊かな社会づくりに貢献するという経営理念のもと、国内外のエネルギー需要に対してよりクリーンなエネルギーを安定供給するという責任をしっかり果たしていきたい」と熱く語る。

    INPEX(国際石油開発帝石)について詳しくは ▶ https://www.inpex.co.jp/

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