国際・政治 闘論席

専守防衛が第一義ならば「陸主海従」は見直すべきでは 片山杜秀

片山杜秀の闘論席

 陸主海従か海主陸従か。陸軍と海軍はいつも争った。大日本帝国時代の話である。ロシアと中国はすぐ目の前。太平洋の対岸は米国だ。お隣さんの仮想敵国は大国ばかり。身の丈が違いすぎる。仮想敵国を圧する軍備を陸海軍が共に十分に保持するのは無理な相談だった。

 そこで陸軍は主張した。日本の独立を保持するには半島や大陸に出て行って、地上戦をするのが地政学的宿命だ。いざというときは本土決戦だ。そのために陸軍に予算を集中特化すべし。海軍は陸軍を半島や大陸に運ぶ海路さえ守れる規模で十分だ。

 海軍はというと、もちろんその逆を言う。日本は島国で資源に乏しい。海上封鎖されたらアウトだ。また人口稠密(ちゅうみつ)な日本で本土決戦は絵空事だ。制海権を確保し続けることが何よりも先決。そのためには大海軍建設に集中すべし。

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