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週刊エコノミスト Online 闘論席

マスク氏の会社が半ば秘密に脳埋設型デバイスの人体実験中 池谷裕二

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

池谷裕二の闘論席

 頭で念じてカーソルを動かすことができた──。イーロン・マスク氏の投稿が話題になった。テスラやスペースX、X(ツイッター)など数々の事業を手掛けるマスク氏だが、私にとって彼は、何よりニューラリンク社の代表だ。

 同社は、脳に埋め込んだ記録用電極でその人の意図を読み取ることで、ロボットやコンピューターを遠隔制御するシステムを開発している。アイデアは目新しくはなく、数十人の成功例がある。しかし、同社の記録装置は硬貨ほどの大きさに1024本の電極が組み込まれ、無線で送信される。基礎研究者が大学で開発するような無骨な装置とは異なり、スマートなデバイスとして注目を集めていた。

 そのニューラリンク社が「ヒトでの試験を開始した」と発表したが、やり方に批判と不安の声が上がっている。臨床試験は国が管理するデータベースへの公表が研究倫理の原則だが、同社の情報は登録されていない。どのような条件でどのような実験が行われているのかが明らかでなく、半ば秘密裏に人体実験が行われている形だ。

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