オリエンタリズムでフェミニズムを語るなかれ 小林よしのり
有料記事
小林よしのりの闘論席
中国雲南省に住む少数民族・モソ族は、古代から代々直系の女性が「家長」となる「家母長制社会」で、土地も財産も全て女性が相続している。「結婚」という制度もなく、夜になると男性が女性の家を訪ねる「通い婚」である。
各国のメディアは以前からその風習に注目しており、5月2日もTBS系報道番組「NEWS DIG」が取り上げ、もっぱらフェミニズム的な視点から、モソ族は女性優位の社会で素晴らしいとか、新しい家族のカタチや生き方のヒントがここにあるとかいう語り口で報じていた。
だが、これは完全におかしい。なぜなら、モソ族は一家を支える労働と責任のすべてを女性が担っていて、男は何もしないという文化だからである。女性が身を粉にして働き、男性は遊んで暮らすのだ。そんな社会をフェミニズムの側がなぜ賛美できるのか?
残り414文字(全文773文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める