テクノロジー 空の産業革命
商業用ドローン&空飛ぶクルマ 規制緩和と大阪万博で新局面=松崎隆司
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急速に進む空の産業革命。官民が本腰を入れており、物流や移動のあり方が一変する日は遠くないかもしれない。
年末から有人地帯のドローン物流が可能に=松崎隆司
「今年は商業用ドローンや空飛ぶクルマにとって大きなターニングポイントになる年だ」──。こう語るのは、千葉市の幕張メッセで6月21~23日に開催された展示会「ジャパンドローン2022」を主催する日本UAS産業振興協議会理事長で東京大学未来ビジョン研究センター特任教授の鈴木真二氏だ。>>>鈴木氏へのインタビューはこちら
ドローンは、大量生産が実現すれば、大型でもヘリコプターの10分の1のコストで製造できるようになることや、これまで使用されなかった高度500メートル以下の比較的低い空域を飛ばして、空を有効利用できるため「空の産業革命」として大きな注目を集めてきた。
しかし、2015年に首相官邸の屋上にドローンが着陸する事件があったのを機に法整備が進み、(1)150メートル以上の空域、(2)人口集中地域、(3)飛行場周辺など──で飛ばす場合は航空法の規制を受け「安全性を確保し、許可を受けた場合にのみ飛行可能」となった。
ただし、その後、規制は徐々に緩和されている。法制化された15年には目視内での操縦飛行(レベル1)に限られ、空撮や橋梁(きょうりょう)点検などで活用された。16年に自動、自律での目視内飛行(レベル2)が認められ、農薬散布や土木作業の測量などでも利用されるようになった。さらに18年に無人地帯における目視外飛行(レベル3)が認められると、離島や山間部への荷物輸送や災害現場における捜索・救助支援などに活躍している。
目視外飛行も可能に
そして22年12月に改正航空法が施行され、機体の安全性に対する認証や操縦者ライセンスの取得などを条件に、飛行ごとの許可を受けなくても有人地帯の目視外飛行(レベル4)ができるようになる。
注目は都心の物流で本格的に利用できるかどうかだ。
「レベル4が認められれば有人地帯を目視外飛行で飛べるようになり、物流業界での活用が期待される。スーパーから消費者へ商品をドローンで届けることができ、買い物難民対策にもなる」(経済産業省次世代空モビリティ政策室)。また、送電線など街中のインフラ設備の点検も、これまでは人が近くまで行かなければならなかったが、遠隔で検査できるようになる。「徐々にではあるが、社会は大きく変わっていくだろう」(同)と期待が高まっている。
空飛ぶクルマは大阪万博で運航計画
人を乗せて空を飛ぶ有人ドローン「空飛ぶクルマ」もまた実用化に向けて一歩踏み出した。政府は24年3月までに「空飛ぶ…
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週刊エコノミスト
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