世界に勝つ!国内バイオ株4銘柄 (編集部)
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特色のある日本発バイオ企業4銘柄を、みずほ証券シニアアナリストの都築伸弥氏への取材などを基に紹介する。(企業名の後のカッコ内は証券コード)>>特集「これから来る!バイオ医薬株」はこちら
そーせいグループ 糖尿病・肥満症で創薬成功
たんぱく質の構造を安定化させる独自技術「StaR」と、たんぱく質の構造をヒントに薬の候補物質を探すプラットフォーム「SBDD」で創薬を行う。製薬大手10社以上とライセンス契約を締結し、足元では契約件数・金額ともに上昇傾向にある。
アッヴィや武田薬品工業などと複数の疾患領域の創薬に向けて提携しており、直近では糖尿病や肥満症に対するファイザーとの共同開発品「GLP-1受容体作動薬」が初期の臨床試験ながら良好な結果を学会で示し、話題に。世界で250億米ドル(約3.6兆円)とされる糖尿病や肥満症の市場において“ベスト・イン・クラス”の薬剤となる可能性があり、今後の臨床試験結果から目が離せない。
今回、自社のプラットフォームから医薬品を開発できることを示した形にもなる。従来の、大手製薬との大規模契約で評価される企業から、臨床結果で評価される企業への転換点でもあるだろう。
2021年にニューロクラインに導出した候補物質では、統合失調症患者を対象に22年、全3段階中2段階目の臨床試験を開始。23年には現在の東証グロース市場からプライム市場への移行も期待される。
ペプチドリーム 創薬新戦略の実現へ
東京大学発のバイオベンチャー。ペプチドというたんぱく質が複数集まった物質を使う独自の創薬プラットフォーム技術 「PDPS」で、創業以来30社との提携契約を締結した。
足元では「ペプチド薬物複合体(PDC)」や、「多機能ペプチド複合体(MCP)」といった、新しい概念の医薬品開発を進めており、PDCでは、核酸医薬大手のアルナイラムや武田薬品工業、放射性医薬品開発では、ノバルティスと契約締結、2023年にも複数本の臨床試験開始が期待される。
既にPDCと類似の技術では、第一三共、アステラス製薬をはじめとする製薬大手が、がん領域で有望だと実証してきた。PDCの可能性に関しては、今後発表される臨床試験結果から明らかとなっていくとみられ、注目が集まろう。
22年には富士フイルム子会社から、放射性医薬品事業(現PDRファーマ)を取得し、診断薬・治療薬展開により売り上げ拡大を目指…
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週刊エコノミスト
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