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若い世代への戦略|米ディズニーがスポーツベッティングに本格展開へ

最近の米ディズニーのスポーツベッティングに対する動き

エンターテインメント業界の花形と言っても過言ではない米ウォルトディズニー社において、最近の新たな試みに対する動きが注目を集めているようだ。事業内容が世間にまだ馴染みがないものだという点もさることながら、ディズニーと聞いて誰しもが想像するような事業ではない点も注目を集める要因になっているのではないだろうか。当記事では、日本ではまだあまり知られていない米ディズニー社の攻めの戦略にスポットライトを当てていく。

2022年9月に、アメリカ合衆国はカリフォルニア州のアナハイムにて、D23という米ウォルトディズニー社の公式オフィシャルファンクラブのイベントであるD23 Expoが開催された。そして、その場にて同社CEOであるボブ・チャペク(Bob Chapek)氏が今後のビジョンを掲げる機会が設けられ、その発言の内容に各方面から注目が集まっているのだ。

注目を集めている内容は、米ウォルトディズニー社の出資会社であるESPNにおいて、スポーツベッティング事業に力を入れており、同社のビジョンの中でも重要な事業に位置すると告げられた点だ。

スポーツベッティングと聞くとまだ耳馴染みがないかもしれないが、スポーツベッティングはサッカーや野球、バスケットボール、格闘技など様々なスポーツの勝敗などにお金を賭け、予想が的中すれば参加者に配当が支払われるというものだ。要するにスポーツを対象としたギャンブルということである。当産業は、特に欧州に深く根付いているエンターテインメント事業で、近年はインターネット上で参加できるオンラインサービスが広く普及している。欧州での利用者層は特に若い世代に多く、利用者は年々増加傾向にあるという。なお、運営元や関連企業には上場しているほどの事業規模に至る企業が多数存在したり、プロチームのスポンサー企業になるなど、欧州ではスポーツ産業には欠かせない存在になりつつあるそうだ。

なお、米国におけるスポーツベッティングはまだ歴史が浅く、近年一部の州で合法化が進み事業の土台が確立し始めた段階にあり、元来から事業を行なってきた欧州企業の注目の的になっている。なんでも、ミシガンやデラウェア州などではオンラインカジノやオンラインスポーツベッティングビジネスを合法化したことにより、税収の大幅な増加に成功しているらしい。いわば、地域経済の財政を補助する役割も担っており、米国では普及が進んでいる。

こういった背景を踏まえると、米ディズニー社のチャペク氏のESPN社に対する事業戦略も納得がいくのではないだろうか。同氏によると、ESPN社では現在スポーツベッティングのアプリケーション開発に精力的に取り組んでおり、今後の若い世代からの需要に応えるためには必要な取り組みであるそうだ。

米ディズニー社と聞くと、やはりテーマパーク運営やキャラクターのグッズ販売をイメージしがちではあるが、エンターテインメント事業という括りで数多くの関連会社を保有しているため、成長産業に先手を打つことは今後の成長にはごく自然なことなのかもしれない。

日本では公営ギャンブルを除くと、スポーツベッティングに対する適応はほとんど進んでいないため、当戦略に対して違和感をおぼえるかもしれないが、今後法整備が進めばこのような流れを目にすることもあるだろう。なお、日本では公営ギャンブル以外のギャンブルは公に認められていないため、オカダマニラやパラダイスシティホテルリゾートなどの海外で運営されているリゾート施設が日本人観光客から人気を集めている。

【ESPN社について】

ESPN社とは、旧社名はEntertainment and Sports Programming Networkで、いわゆるスポーツコンテンツに特化した専門チャンネルを運営する企業である。米ウォルトディズニー社は、当社の資本の80パーセントを所有し、残り20パーセントはハーストコミュニケーションズ社が所有している。

また、ESPN社は2020年9月にすでにスポーツベッティングの大手であるCaesarsとDraftKingsとパートナーシップを組んでいる。従って、今回のESPNにおいてスポーツベッティングのアプリケーションの開発における意欲的な発言は、更なるスポーツベッティングやオンラインカジノ分野に対する強化、更なる躍進においての意思表明と見て取れるだろう。

【提供】カジマル.com

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