㉔乳児からよく噛む習慣を付けよう 林裕之
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乳幼児期からの咀嚼不足が、子どもの歯並びを乱している。
>>連載〈歯科技工士だから知っている「本当の歯」の話〉はこちら
前号で成長期の子どもの咀嚼(そしゃく)が咬合(こうごう)力(噛(か)む力)や記憶力に大きな影響を与えることを解説しました。能力だけでなく、永久歯の歯並びも乳幼児からの咀嚼が影響します。
子どもの虫歯は減少していますが、叢生(そうせい)(乱ぐい歯)のある子どもは増えています。叢生とは「歯の大きさと顎(あご)の大きさの間に起こるアンバランスにより、歯が部分的に重なってしまう状態」(厚生労働省 e-ヘルスネット)のことです。臼歯(きゅうし)が重なり合うことは非常にまれで、主に前歯の歯並びが乱れます。12~15歳で叢生のある人は34.5%(2005年)から43.8%(11年)と増加傾向です(歯科疾患実態調査/厚労省)。叢生の原因と考えられるのが、乳幼児期からの咀嚼不足です。
乳歯も永久歯もその大きさは生える前から決まっています。永久歯に生え変わる時期に顎が十分発育していないと、大きさの決まっている歯が顎に収まりきらず、ねじれたり、重なり合ったりして歯並びが乱れてしまうのです。…
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週刊エコノミスト
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