実際に使ってみたら――驚くべき要約力と拙劣な知ったかぶり 平野純一
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話題の「チャットGPT」は、さまざまな質問に対して、文章で的確な答を返してくれるという。どれくらい実用に耐えうるのか。試してみた。
(平野純一・編集部)
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チャットGPTは、文章の要約を書き出してくれたり、コンピューターのプログラムを書いてくれたり、はたまた悩みの相談にも乗ってくれたりと、あらゆる分野で高い能力を持つという。
チャットGPTの利用を始めるには、開発企業「オープンAI」のサイトへアクセスし、自分のアカウントを作ることが必要だ。メールアドレスと名前、電話番号を登録すればOKだ。
まず試してみたのは、文章を入力すると、それに見出しを付けてくれるという機能だ。
筆者の仕事柄、原稿に見出しを付ける仕事は神経を使う。原稿の内容を正確にとらえることは大前提だが、読者に興味を持ってもらえるようキャッチーな言葉を使いたい、あるいは見出しではわざと答は言わず、読者の関心を誘いたい……などを真剣に考える。
もし、チャットGPTが本当に素晴らしい見出しを付けてくれるなら、採用するかはともかく、助けになる。
そこで、『週刊エコノミスト』3月14日号のニュース欄「FOCUS」にある、植田和男・日銀総裁候補の国会での所信聴取に関する原稿をチャットGPTに入れ、「以下の原稿に見出しを付けてください」と指令をしてみた。
「経済学」解説は合格点
編集部が実際に付けた見出しは「日銀総裁候補の所信聴取 植田和男氏を読み解く『よい芽』『基調的な物価見通し』『魔法』」である。
一方で、チャットGPTが付けた見出しは「次期日銀総裁候補・植田氏の所信聴取 安全運転重視の姿勢を示す 市場のサプライズ警戒は消えず」だった。
内容的には正しい。見出しできちんと原稿の内容を捉えるという意味では合格だ。ただ“面白い”かといえば、そうではない。文章から重要な部分を抜き取って並べただけの見出しになっていた。編集部が付けた、三つのキーワードを並べるといった“気の利いた”ことはできないようだ。
それでも、文章の何が重要かを判断して見出しに持ってくるところはかなりの高レベルと思え…
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週刊エコノミスト
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