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欧米中銀が追加利上げの7月末、日銀はYCCの枠組み堅持 桂畑誠治
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7月末の同じ週、主要国の中央銀行が金融政策決定会合を相次いで開き、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は市場が織り込んだ通りに利上げを決めた。一方、日銀はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用を柔軟にすると決め、市場を驚かせた。
FRBは政策金利であるFFレート誘導目標レンジを0.25%引き上げ、5.25~5.50%とすることを全会一致で決定した。
FRBのパウエル議長は利上げを決めた理由として、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降、景気が堅調に推移したほか、物価・労働市場がFOMCの見通しにおおむね沿った動きだったことを挙げた。6月のインフレ率は市場予想より低下したものの、単月の動きであり、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は依然かなり高い伸びと強調した。
9月のFOMC
FRBの金融政策スタンスを示す文言は6月と変わらず、「インフレ率を徐々に2%に戻すため、どの程度の追加的な政策引き締めが適切となり得るかを決定する」というもの。つまり、今回の利上げを決めた後もFRBの政策姿勢は追加利上げに傾いていることが示された。
パウエル議長は今後も金融政策の決定はデータ次第であり9月のFOMCでは利上げと据え置きのどちらの可能性もあると指摘した。9月のFOMCに向け、参加者が2カ月分の物価統計を確認する際、予想を上回ってコア指数が低下していれば、FRBは9月以降、政策金利を据え置くと予想される。一方、コア指数の低下がFOMC参加者の6月予想と同程度ならFRBは11月のFOMCで0.25%の利上げ決定後、据え置きに転じると見込まれる。
日銀は7月28、29日に金融政策決定会合を開き、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度とするYCCの枠組みを維持すると決定した。ただし、長期金利の変動幅はプラスマイナス0.5%程度を維持した…
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週刊エコノミスト
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