空き家にワンストップ対応! 専門家が連携した岡山市の成功4事例 石田信治
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空き家の悩みには、弁護士や司法書士、不動産コンサルタント、解体業者などの専門家が連携して「ワンストップ」で相談できる体制が必要だ。
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岡山県内では、若者が就職や進学で東京や大阪などの大都市に出てしまい、地元に帰ってこない傾向が顕著で、相続をきっかけに跡継ぎのいない家、すなわち空き家が約14万戸(2018年時点)と多数発生している。県内でも岡山市(政令指定都市)や隣接の倉敷市などに人口が集中し、県北などの各市町村は過疎化が進行し、県南に若者が流出して、その実家が空き家となっている。
筆者が運営に携わる一般社団法人「岡山住まいと暮らしの相談センター」では、空き家対策特別措置法の施行(15年)と同時の早いタイミングで国土交通省の補助事業に取り組み、一般の不動産業者が対応を敬遠しがちな空き家問題についてワンストップで対応できる総合相談窓口を設置し、岡山市など行政とも連携して活動している。
全国に先駆けて設置した当センターでは年間300件以上の空き家に関する相談を受け付け、内容に応じて必要な専門家や専門業者を紹介する活動をしている。問題は多岐にわたり、不動産の専門家だけでは解決できないことも多い。そこで、不動産コンサルタント(筆者)、弁護士、司法書士、リフォーム業者、解体業者など各分野の専門家が連携する、総合的な取り組みが必要になるのだ。
当センターにおいて、過去に対応した岡山市の事例の中から今後の空き家問題解決のヒントとして以下の事例を紹介したい。
事例1 大正期の農家を売却 約71万人の人口を抱える岡山市は、政令指定都市移行(09年4月)に伴い、周辺市町村との合併で市の範囲が広域となり、都心、郊外、過疎地と市内でも環境にかなりの差がある。最初に紹介するこのケースは、岡山市内でも過疎地にある物件だ。相談者は大正時代ごろに建築された住宅(200平方メートルの平屋)を08年に相続。都心から離れた農村部の山裾にあり、前面道路は軽自動車がようやく通行できる狭さである。典型的な田舎の古い住宅である。 この家を所有する相談者は、すでに岡山市内の都心部のマンションに居住しており、相続で取得したこの家に住む予定もなく放置していた。このまま自分の息子に相続させても問題を先送りするだけのため、思い切って先祖代々住んでいたこの家を売却することにした。家屋は劣化しているものの、何とか住める状態であったが、建物内には生活道具があり、片付けもできておらず、倉庫代わりになっていた。 売却にあたっては、不動産業者と相談した上で、引き合いが来るような現実的な売り値を付けて売り出した。売却ができない場合は今年4月に創設された「相続土地国庫帰属制度」を利用して建物を解体した後、国に引き取ってもらうしかないかとも考えていた。 しばらくすると、住み替えを検討している人から引き合いがあった。岡山市内の郊外に住んでいるが、住んでいた家が手狭であり、田舎でのんびりと暮らしたいという希望であった。建物の改修については、必要最低限の箇所はプロに任せ、できるところはDIYで対応するとのことだった。商談は順調に進み売却ができた。 売り主の視点からだと、売却できるかどうか不安要素が多い物件でも、買い主には好条件であることもある。売却先以外にも、古民家の愛好家から問い合わせがあった。不動産売買は1人でも気に入ってくれる人が見つかれば売却は可能だ。最初から諦めずに最低限物件の維持管理をしながら、まずは売却活動をしてみることをお勧めしたい。
事例2 買い主が…
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週刊エコノミスト
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