使わなきゃ損!な空き家特例 売却益への課税額が最大610万円減る 板倉京
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空き家を売却する際に利用を検討したいのが、最大で約610万円も税金がかからなくなる特例だ。
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空き家となった親の自宅を相続後に売却した際、得られた所得(もうけ)から3000万円を控除できる「空き家の譲渡所得の特例」(空き家特例)。2023年度の税制改正で、今年末までだった特例の期限が27年末まで延長されただけでなく、耐震リフォームや建物の取り壊しの要件も使い勝手が良くなった。空き家の処分の際には、使わなければ損をする特例として覚えておきたい。
空き家特例の対象となるのは、1981(昭和56)年5月31日以前に建てられた家屋である。昔に買った家は貨幣価値の違いもあり、安く買っているケースも多く、もうけが出る可能性が高い。また、古すぎていくらで買ったのかが分からないことも多いが、そうした場合には「売った金額の5%で買ったこととする」ため、もうけの金額も大きくなる。
所得税法では通常、不動産を売ってもうけが出ると、所有期間5年超なら税率20.315%、5年以下だと39.63%の税金(所得税・住民税)がかかる。仮に、3000万円のもうけが出れば、税金は税率20.315%の場合で609万4500円になる。しかし、空き家特例を使えれば、もうけから3000万円控除できるので、もうけはゼロ、税金もゼロ。最大約610万円もの税金がかからず、使わなければ損なのである。
耐震改修の要件好転
ただし、こうした大型の特例には厳しい条件もある。既述した①建築時期に加えて、②区分所有登記されている建物でないこと、③相続開始の直前まで被相続人以外に住んでいた人がいなかったこと、④相続から譲渡の時まで空き家のままであること、⑤売却代金が1億円以下、⑥相続した日から3年を経過する年の12月31日まで、かつ27年末までに譲渡すること、⑦譲渡の時点で建物が耐震基準を満たすか、取り壊していること──だ。
ここで、今回の税制改正前後で異なるのが、⑦に関連して建物を耐震リフォームしたり取り壊したりした場合の扱いだ。改正前は特例適用の要件として「譲渡の日ま…
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週刊エコノミスト
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