中国共産党指導部による重要会議で読み解く中国経済 三浦祐介
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中国では、経済政策も党の指導に基づく。どのように経済政策が運営されているか、重要会議から年間の流れをみてみよう。
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中国で「中央政治局会議」が7月24日、開催された。同会議では、目下最大の懸案である不動産市場に関して「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない」という、これまで投機抑制のために頻繁に用いられた表現が用いられず、政策の緩和が示唆された。また、資本市場活性化の取り組み強化についても言及され、中国国内マーケットは会議の結果を好感し、株価が上昇した。
日本の金融政策決定会合など、経済の先行きを占ううえで注目度の高い会議は各国にあるが、中国の場合、中国共産党指導部による会議の結果が重要となる。これは経済・金融政策を含む国政の中核に党の指導が位置付けられている中国ならではの特徴といえよう。
定例で開催される重要会議はさまざまだが、代表的なものは、上述の①「中央政治局会議」や②「中央経済工作会議」と呼ばれる党中央主催の会議のほか、③日本の国会に相当する「全国人民代表大会(全人代)」だ。
①は日常の党務における重要事項について意思決定を行う場である。おおむね月次で開催され、4・7・10・12月は経済運営が議題となることが通例(10月は年による)だ。②は12月に開催され、経済運営に関する当年の総括と翌年の方針決定がなされる。③は3月に開催され、初日の政府活動報告(施政方針演説)が注目される。
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政策の意思決定・運営のプロセスとしては、まず12月開催の①中央政治局会議で翌年の経済政策の骨格が明らかになり、続く②中央経済工作会議でより具体的な方針が示される。同会議には党中央幹部のほか、全人代や中央・地方政府、司法機関、国有企業、軍の幹部も一堂に会するため、国政に関わる主要機関への方針共有の場にもなっていると思われ…
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週刊エコノミスト
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