サステナビリティ時代に「競争優位を実現するSDGs経営」とは 笹谷秀光
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米ニューヨークの国連本部で9月18-19日に、4年ごとに進捗を議論する「SDGサミット」が行われた。今回は2030年までのSDGsの達成が危ぶまれるので各国・各関係者は活動を加速すべきとの政治宣言が採択された。
いまや、企業にとってSDGsをはじめ「サステナビリティ(持続可能性)」に対処するための体系構築は必須となった。企業の場合は、その対応にあたっても他社と差別化し「競争優位」を目指すことが必要だ。では、どうするのか。
「VUCA(ヴーカ)」の時代
企業経営を取り巻く外部環境は、先行きが不透明で将来の予測が困難である「VUCA(ヴーカ)の時代」に入っているといわれて久しい。V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)、C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity: 曖昧性)だ。
ウィズ・コロナ、脱炭素の本格化に世界が向かう中で、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻がいまだに終わらない。このように世界の人々の健康、地球環境、安全保障ルールを激変させる出来事が次々と起こっている。
2023年4月に発表された「世界人口白書2023」(国連人口基金)によれば、世界の人口は80億人を超えた。先進国では人口減少、開発途上国では人口増加という2極化も指摘されている。
筆者は、農林水産省・環境省・外務省での31年間の行政、株式会社伊藤園取締役としてのビジネス、そして現在の千葉商科大学教授・サステナビリティ研究所長という、「産官学」の経験をしてきた。その経験から、これほどの VUCA の時代はなかったうえ、強烈な速度で変化する時代に入ったと実感する。
これを乗り越えていくうえで最重要の価値観が、「サステナビリティ」であり、企業経営にとっても必須だ。
特に、投資家を中心に、ESG、すなわち、環境(Environment)、社会(Social)、 企業統治(Governance)への配慮要請が強まっている。また、国連での2015 年の合意文書「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェン ダ 」 に 盛 り 込 ま れ た「 持 続 可 能 な 開 発 目 標 」(Sustainable Development Goals:SDGs)は企業に対しても的確な対応を求めている。ESG と関連させて SDGs へ…
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週刊エコノミスト
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