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東芝の上場廃止は「一般株主への裏切りだ」専門家に聞く

不正会計問題で取締役8人の引責辞任を発表し、頭を下げる東芝の田中久雄社長(当時、右側手前から2人目)ら=東京都港区で2015年7月21日午後5時6分、望月亮一撮影
不正会計問題で取締役8人の引責辞任を発表し、頭を下げる東芝の田中久雄社長(当時、右側手前から2人目)ら=東京都港区で2015年7月21日午後5時6分、望月亮一撮影

 東芝が12月20日に上場廃止となった。不正会計の発覚から8年。米原発子会社の破綻や大株主の海外投資ファンドとの対立など、迷走の末に非上場企業となる。企業法務に詳しい中島茂弁護士に、東芝の上場廃止をどう考えるかインタビューした。すると「株主に対する裏切りだ」との答えが返ってきた。【聞き手・今沢真】

 ――東芝の上場廃止をどう見ていますか。

 ◆中島茂弁護士 私は「株主に対する裏切り」だと思っています。「物言う株主」に対してしっかりした対応ができず、安易に上場廃止の道を選んだように見えるからです。

 東芝は2017年に米原発子会社の破綻で債務超過に陥り、当時の東証1部から2部に指定替えになりました。そこで6000億円の増資をして債務超過を解消し、3年あまりで1部に戻りました。

 増資で入ってきた「意向に沿わない株主」との対立で、経営が思うようにいかなくなりました。でも、だからといって上場をやめるのは本質と違うと思います。1部復帰で「再び企業価値を向上させてほしい」と願った一般株主への裏切り行為にほかなりません。

上場に必要な「覚悟と決意」

 ――上場企業としての覚悟がなかったということですか。

 ◆そ…

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