今年はビットコインに注目 半減期とETF承認が追い風に 高城泰
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今年は新規発行量が半分になる「半減期」が訪れビットコインの価格上昇が期待されている。加えてETFが承認され、有力投資先に……。
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米証券取引委員会(SEC)は1月10日、ビットコイン(仮想通貨=暗号資産)の現物を運用対象とする11本のETF(上場投資信託)を承認した。ビットコインETFの取引は承認翌日に早速始まり、取引初日に7億ドル(約1000億円)、翌日には9億ドルの資金を集めた。英スタンダードチャータード銀行は3月までに10億ドル、年末までに1000億ドルの資金を集めると予想している。「デジタルゴールド」とも呼ばれるビットコインだが、金ETFの運用資産は世界で約2000億ドルだ。その半分程度は十分に達成可能だろう。
ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)にビットコインを加えようとしても、これまでは課題が多かった。現物はハッキング(乗っ取り)のリスクがあり、ETFは未認可の銘柄のみ、証拠金取引は長期保有に不向きだ。管理が容易で手軽に投資できるETFの登場は機関投資家や保守的な個人投資家の新たな資金を呼び込む可能性が高い。
最初のビットコインETF申請から10年、「ETF承認」は有力な買い材料とされ、長く市場のテーマであり続けてきた。その実現は2024年のビットコイン市場の追い風となる。
今年はもうひとつ、有力なテーマがある。マイニング(採掘)時に新規発行されるビットコインの量が半分になる「半減期」だ。半減期は4年に1度のペースで訪れ、次回は今年4月ごろになる。新規発行量の減少は需給を引き締める効果があるため、半減期の通過後は価格が上がる傾向がある。過去3回の半減期ではいずれも1、2年間の上昇トレンドが発生し、史上最高値を更新してきた。
今回は半減期に加えてETF承認という大きな材料もあり、また米国では利上げサイクルが終了し利下げが始まる。こうした金融環境も金利がつかない資産であるビットコインに有利なことから価格上昇への期待は強まっている。スタンダードチャータード銀行は年末1BTC=10万ドル、来年末20万ドルとの予想を発表した。半減期を迎…
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週刊エコノミスト
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