低価格のドリンクスタンドが急成長 “映え”より“お得”で存在感 奥山要一郎
有料記事
足元でデフレの兆候が見られる中国では、低価格商品やそれらを売るディスカウントショップ自体の人気が高まっている。雑貨チェーンの「名創優品(MINISO)」や、期限切れ間近の食品など“訳アリ商品”で有名になった「好特売(Hot Maxx)」などが代表格だ。
この波がティードリンク(茶飲料)市場にも及んできた。これまでは「奈雪的茶」や「喜茶(HEYTEA)」など、1杯30元(約600円)程度で見た目も豪華な“映える”ミルクティーが人気だったが、最近では10〜20元程度で“お得感”を売りにしたチェーン店の存在感が増している。
河南省鄭州に拠点を置く「蜜雪冰城(MIXUE)」の看板商品は、2元のソフトクリームや6元のパール(タピオカ入り)ミルクティーだ。その安さから客層は学生や子供連れが多い。2023年末時点で中国全土に3万1600店舗を展開し、同年の販売額は440億元、市場シェア17.8%で業界首位だ。
同社は店舗全体の過半を地方の中小都市以下のエリアに置く。都市部より消費力でやや劣る地方部で、コスパの良い商品を投入し、成長を遂げてきた。最近では満を持して上海や北京などの大都市での展開を強めている。
業界2位は古茗(Good me)。フルーツティーやミルクティーの価格帯は10〜18元だ。「毎日飲んでも飽きない」を掲げ、毎年100種類前後の新製品を投入する。先日筆者が訪問した浙江省杭州にある本社は、さながらIT企業のようだった。整然とした社内には約2000人が働き、研究ラボからフランチャイズ店の実習スペースまでそろっていた。
中国のドリンクスタンド市場(中国語で「現製飲品」=カウンターや簡易店舗方式で提供される出来たて飲料品)は、コンサル会社の灼識諮詢によると、23年に前年比22.8%増の5172億元規模に上った。うち、ティードリンクが50%、コーヒーが33%を占める。中国では「現…
残り593文字(全文1393文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める