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国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

中国の不動産低迷は地方で続くも春節旅行者数はコロナ禍前超え 久保和貴

桂林のランドマーク「日月双塔」も多くの観光客でにぎわっていた(2024年2月、筆者撮影)
桂林のランドマーク「日月双塔」も多くの観光客でにぎわっていた(2024年2月、筆者撮影)

 中国では2月10日から17日まで春節(旧正月)に伴う大型連休となり、帰省や観光による人流増加が各地で報告された。筆者も連休を利用し、中国南部の街「桂林」を視察した。

 桂林は20元紙幣の絵柄にも採用される、有名な景勝地を有する古都だ。川の両岸に無数の石灰岩の岩峰「タワーカルスト」がそびえ立つ幽玄な景色をテレビや写真で見知った人も多いだろう。建築物でも、上方に反り返った独特な形の屋根が目を引く。そうした屋根が日本でいう五重塔のように幾重にも重なる塔が夕日を浴びて河畔にたたずむ様子は、時間を忘れて見入ってしまうほど。少数民族「壮族」がまとう極彩色の民族衣装は、旗袍(チーパオ)(チャイナドレス)に見慣れた筆者を、遠い外国にいるかのような感覚にさせた。

 春節休暇で同地を訪れる中国人は非常に多く、景色を見に来たのか人を見に来たのかわからなくなるほどの混雑ぶりだった。人混みはカメラを構える隙(すき)もないほどで、今年の中国経済は、観光や飲食が力強くけん引してくれるのではとの考えもよぎる。実際、春節中の国内旅行者数は延べ4億7400万人で2019年の同期比で19.0%増、国内観光収入は同7.7%増(いずれも日数調整済み)といずれも新型コロナ前の水準を上回った。人の移動が衰えていないことは中国経済にとり朗報だ。

 他方、春節期間中の不動産販売は低迷が続いたようだ。主要25都市における1日当たり新築住宅成約面積は、前年同期比で27%減少するなど弱い動きとなった。地方都市において顕著で、新築住宅成約面積は一線都市(トップ都市)では前年同期比約2倍と急激な回復となったものの、二線都市では同46%減、三線都市では同29%減と、一線都市以外は不調だった。

ライドシェア過当競争

 不動産の建設中断や過剰在庫などで有名な貴州省にも赴いたところ、夜になると人がいるかも定かでないマンション群が闇の中に浮かび上がっ…

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