米国の大物親中家族に“異変” 関係打開の端緒失う習氏 金子秀敏
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米国の次期大統領選挙の予備選は3月12日、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が指名に必要な代議員を獲得した。前日、中国では全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。習近平国家主席は、経済回復のための政策も、冷却した対米関係を打開する方針も示せなかった。
昨年来、習氏の威信低下が目立つ。昨年秋に開くはずの共産党中央委員会全体会議(3中全会)が開けないまま全人代を終えた。会期中、北京市内の政治の中枢「中南海」の正門に何者かが自動車を運転して突入を試みる事件も起きた。対米外交は、バイデン氏と昨年11月、米サンフランシスコで会談したが、トランプ政権になった場合、パイプはない。失踪中の秦剛・前国務委員兼外相の後任人事は決まらないまま、王毅・党政治局委員の外相兼務が続く。
米国では中国に冷たい風が吹いている。共和党内の反トランプ勢力の中心だったミッチ・マコネル上院院内総務が2月末、「年内引退」の声明を出した。数日後、トランプ氏と争うヘイリー元国連大使も予備選撤退を表明した。
マコネル氏は引退の理由に、妻のイレーン・チャオ(趙小蘭)元運輸長官の妹の富豪、アンジェラ・チャオ(趙安吉)氏の突然の「事故死」をあげた。アンジェラ氏は米海運大手、フォアモスト・グループのCEO(最高経営責任者)。夫のジム・ブレイヤー氏はフェイスブック(現メタ)創設者7人の1人だったベンチャー投資家だ。2人とも習近平政権のもとで対中国ビジネスを拡大してきた。
ブレイヤー氏のIDGキャピタルは、中国のデジタル企業に投資してきたが、1月末、米国防総省から「中国軍の関連企業」と認定され、対中投資からの撤退を命じられ…
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週刊エコノミスト
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