中古マンション 気を付けたい七つの“落とし穴” 日下部理絵
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中古マンション購入では新築にはない落とし穴がたくさんある。失敗しないためのチェックポイントを挙げる。
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新築マンションの価格高騰に伴い、近年は新築より中古マンションの方が売れている。首都圏では2016年から8年連続で中古の成約件数が新築の供給戸数を上回っている(図)。しかし、新築より「安価だから」といったことを購入の決め手にすると危険である。中古マンションには新築にはないワナがいっぱいなのだ。何に注意すれば失敗しないのか、気を付けたい七つのポイントをまとめた。
ポイント① 管理組合の収支
昨今の物価高はマンション管理組合の懐にも影響が出ている。購入直後に管理費等の無理な値上げや一時金の徴収があっては家計に大打撃である。なかには滞納者が多い負債マンションもある。必ず、毎月の住宅ローン返済額、管理費や修繕積立金の金額だけでなく管理組合会計の収支状況を確認したい。また、直近の大規模修繕工事の有無や予定、今後値上げする予定や一時金が徴収される可能性があるのかも確認したい。
ポイント② 築古物件の耐震基準
急増する築40〜50年の築古リノベーション物件は、駅近でおしゃれ、しかも安価だと飛びつきたくなるが、旧耐震基準で耐震性に不安がある物件も多い。旧耐震基準は「震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、生活に大きな支障が出ない構造基準」のこと。つまり、これ以上の地震が発生すると、倒壊の可能性がある。築古なら耐震補強の実施など耐震性を必ず確認したい。
できれば築10年前後までの中古マンションをおすすめする。新古物件や築浅物件など、新築と変わらない仕様の物件もある。ただし、築10年前後の場合、入居してすぐ大規模修繕工事ための一時金を支払わなければならない可能性がある点には注意したい。
掲示板、ゴミ置き場も
ポイント③ 建物の実物
中古マンションを選ぶ際、不動産ポータルサイトの情報や図面、なかにはVR(仮想現実)の内見だけで決める人もいる。中古こそ実物を見てから決められるという利点がある。例えば、日当たりや眺望、風通し、臭い。窓を開けて実際にすべてのバルコニーに出て眺望を確認してほしい。その際、前に建物が建たないかなどの確認も重要だ。役所に行けば、近隣に建築計画があるかを確認できる。
天井の高さや梁(はり)、間取りは、生活動線を考えながら確認するとよい。昼や夕方など時間帯を変えて何度か内見するのをおすすめしたい。また築古物件には、特有の臭いが排水管から湧き上がってくるものもある。必ず内見し、事前情報や図面では分からない点をよく確認すべきだ。
ポイント④ 住民のマナー
中古マンションを買うということは先住民がいるということ。自分勝手な主張でトラブルを引き起こす“モンスター住民”がいたのでは生活のクオリティーが下がる。内見時には必ず、掲示板や注意書きに注目したい。騒音やペットのマナー、民泊について注意書きが貼られていれば、騒音やペット、民泊に関するトラブルが生じているということ。特に騒音トラブルの有無は確認したい。長期化しやすく解決の糸口がみつけにくいためである。
ゴミ置き場や粗大ゴミの置き方もよく見たい。ゴミ処理券を貼られないまま粗大ゴミが山積みになっている場合は、ゴミ捨てのルールを守らない住民がいると分かる。その部屋の所有者や、廊下ですれ違…
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週刊エコノミスト
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