近松没後300年 初役の俊寛に挑む菊之助 小玉祥子
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舞台 錦秋十月大歌舞伎 平家女護島(へいけにょごのしま) 俊寛
歌舞伎座の「錦秋十月大歌舞伎」昼の部の序幕では「俊寛」を上演中だ。主人公の俊寛は初役で尾上菊之助が演じている。
近松門左衛門作で享保4(1719)年に大坂竹本座で人形浄瑠璃として初演された全五段からなる「平家女護島(へいけにょごのしま)」の二段目部分。近松が没したのは享保9(1724)年で今年が没後300年の節目の年にあたる。
平家全盛の世に、平清盛に反旗を翻そうとした「鹿ケ谷の陰謀」が露見し、首謀者に名を連ねる僧・俊寛、丹波少将成経、平判官康頼の3人は鬼界ケ島に流罪となった。都に残った俊寛の妻、東屋は清盛に言い寄られたが拒絶し、自ら命を絶ったが、俊寛はそれを知らなかった。
鬼界ケ島の浜辺に小屋を構える俊寛を少将と康頼が訪ね、少将が島の海女(あま)・千鳥と恋仲になったことを知らせ、千鳥を引き合わせる。その場で少将と千鳥は婚礼をあげ、俊寛は祝いの舞を舞う。そこに都からの赦免船が到着する。
降り立った使者の瀬尾太郎兼安は赦免状を読み上げ、少将と康頼に帰還の許しを伝えるが、俊寛だけ名を呼ばれない。絶望する俊寛にもう一人の使者、丹左衛門が別の赦免状を取り出し、清盛の子重盛の考えで俊寛も備前国(岡山県)まで戻れることになったと告げる。
俊寛、康頼と一緒に少将は千鳥の手を引いて乗船させようとするが瀬尾は乗船がかなうのは3人だけだと千鳥を乗せない。それなら自分たちも帰らないと3人は言い張るが、瀬尾は俊寛に東屋の死を告げた後、3人を強引に船に引き立てる。船を降りた俊寛は瀬尾に切りつけて殺害し、自分の代わりに千鳥を乗船させるようにと…
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週刊エコノミスト
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