能登半島地震で露呈した“放置空き家”問題 相続人に損賠責任 公費解体の遅延要因にも 永來宏隆
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所有する空き家を放置しておくと、災害時に損害賠償責任を負うことがあるばかりか、後世にも大きなツケを残すことになる。
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今年1月1日に発生した能登半島地震による住宅の被害は、石川県だけで8万棟を超えた。被害が大きい市町は地震の前から空き家率が高く、地震により倒壊・損壊した家屋の中には、もともと空き家だった家も数多くあった。そのため、空き家を放置しておくことのリスクがさまざまな形で顕在化している。
資産価値に乏しく持っているだけで費用がかさむ不動産は「負動産」とも呼ばれ、誰も相続したがらないケースは珍しくない。だが、誰も相続したくないからといって放置しておくと、地震などの災害によって大きな問題を引き起こしかねない。つまり、放置はリスクでしかないのである。
地震ではブロック塀や擁壁が崩れて、隣家のモノを損壊することがある。さらには家屋自体が崩れ、隣家に倒れ掛かることもままある。これまでは、震度5以下の場合は損害賠償責任を免れることはない一方、震度6以上の場合は「不可抗力に基づくもの」として損害賠償責任を免れるといわれていた。
ただし、昨今では震度6以上の地震もしばしば発生している。そのため、損害賠償責任の基準は、所有者に対してより厳しくなっていると考えられる。つまり、震度6以上の地震でも所有者が損害賠償責任を負う可能性は否定できない。
公費解体の同意得られず
遺産分割されず放置されている空き家についても同様だ。例えば、亡くなった親が所有していた家屋が遺産分割されずに空き家として放置されていた場合、親の相続人全員が損害賠償責任を負う。解体費用の負担などで相続人の折り合いがつかないことなどから、空き家の放置は相続のタイミングから始まることが多い。
そうしたリスクを回避するには、売却などができなければ、補助金なども利用して解体・撤去することが得策だ。地震などの被災家屋の解体・撤去は原則、所有者の責任となる。だが、今回の能登半島地震のように特定非常災害に指定されれば、「半壊」とされた家屋などまでは公費で解体・撤去できる。
公費解体の申請には原則…
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週刊エコノミスト
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