マーケット・金融 世界&日本経済下期総予測

底堅い日本株 日経平均は年末4万1000円か 向吉善秀

日経平均株価の終値が7月11日、初めて4万2000円を超えた
日経平均株価の終値が7月11日、初めて4万2000円を超えた

 企業の2024年度の設備投資は強気で、年後半には個人消費も上向く見通しのため、国際政治のリスクを抱えながらも日本株は底堅い展開を予想する。

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 2024年の日本株は7月中旬まで、日経平均株価、TOPIXともに史上最高値を更新するなど好調だった。年後半についても底堅さが維持されるとみる。24年末は日経平均株価で4万1000円、TOPIXで2900ポイントの水準を予想している。

 これら予想の前提とする日本の実質国内総生産(GDP)成長率は、23年の前年比1.8%に対し、24年は0.2%、25年は1.4%と回復を見込んでいる。一方、米国の実質GDP成長率は、23年の前年比2.5%に対し、24年は2.2%、25年は1.5%と減速する見通しだ。日本経済は24年後半以降、景気持ち直しが鮮明になるとみている。

 他方で、金融政策については、米国をはじめ主要先進国が利下げ局面に入る中、日本は25年にかけて、断続的に利上げが実施される見通しだ。長期金利は日本が24年末に1.2%、米国は4.2%と予想する。足元の世界経済は、米国主導で回復基調を保っている。主要先進国全体でみれば、緩やかな生産拡大と雇用改善、インフレ安定化が続いており、25年に向けて景気軟着陸の確度は高いとみている。

 また、今年6月にカナダとユーロ圏が利下げを開始しており、年末までには、米国や英国も利下げ開始が見込まれている。先進国は同時利下げに動き始めており、景気軟着陸への期待は強まるとみられる。他方、今年11月に米大統領選を控え、米国の政策に不透明感が高まりやすい傾向がある中で、ウクライナ戦争やイスラエル情勢を含め、国際政治の面から市場が動揺するリスクに注意が必要と考えている。

 また、中国は不動産不況により消費者心理が低迷し、個人消費が停滞して内需が低調であり、景気は緩やかに回復するにとどまる。

金利は上昇しやすく

 日本国内では、中国や欧州向けの輸出が伸び悩み、生産動向に弱さがみられるが、訪日外国人客数の増加によって、サービス業を中心にインバウンド需要の好調さが継続している。円安の進行や国際航空便の増便などが、訪日外国人客数の増加に寄与しており、今後もインバウンド需要の拡大が見込まれる。人手不足感が強まる中で、企業は24年度も強気な設備投資計画を打ち出している。

 今後、省力化投資が積極化する公算が大きく、設備投資の拡大も成長率を押し上げることになろう。他方、物価が上昇する状況下で家計の生活への先行き不安は高まっており、消費者心理が悪化して個人消費は弱含んでいる。その背景には、実質賃金の下落が挙げられるが、今春闘での高い賃上げ率実現を一つの要因として、年後半には実質賃金は前年水準を上回るとみている。

 所得環境の改善を受けて、年後半には個人消費は上向く見通しだ。日銀短観では、企業の販売価格見通しが引き上げられており、物価と賃金の好循環は続く公算が大きい。国内の消費者物価の上昇率は徐々に沈静化するも、年内は前年比で2%を超える伸びが続くとみる。

 債券市場では、日銀の国債買い…

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