米大統領選後にビットコイン上昇段階へ 年末10万ドル予想は通過点 松田康生
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今年4月に半減期を迎えたビットコイン。米国ではビットコイン現物ETFの大ヒットで投資家の裾野も広がっている。
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市場における価格は需要と供給で決まるが、暗号資産の代表格ビットコインも例外ではない。ビットコインの場合、供給の仕組みがプログラムで定められており、供給量は4年ごとに半分になる。今回は今年4月20日、1日当たりの供給量が900BTC(ビットコインの単位)から450BTCに半分になった。これを「半減期」と呼ぶ。
ビットコイン市場の通常の流れでは、半減期前に期待先行で上昇し、半減期後は利食いなどでしばらく低迷する。しかし半減期後、半年から1年で供給減の累積効果が効き始めて急騰する。例えば、前回2020年5月の半減期では半年後の11月ごろから上昇を始め、翌年5月と11月に2回ピークを付けた。今回は約半年後の11月ごろから本格的な上昇が始まるとみている。
現物ETF大ヒット
これらは供給要因からの分析だ。市場は需要と供給で決まるため、需要要因も考える必要がある。年初に4.4万ドル(約660万円)だったビットコインを、3月の史上最高値7.3万ドル(約1100万円)にまで押し上げたのは、今年1月に米国で誕生した現物ビットコインETF(上場投資信託)の大ヒットだった。米大手運用会社ブラックロックのビットコインETF「IBIT」は、史上最速の50日間で100億ドルを集めた。
同社のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、財政の悪化で国が発行する通貨の価値は毀損(きそん)するが、こうした国家の影響を受けないビットコインはインフレをヘッジする“デジタルゴールド”だと主張。これが、今までビットコインに興味を示さなかった60代以上の世代に響いた模様だ。
24年前半は個人中心のブームだったが、年後半には年金などの伝統的な機関投資家にも広がるとみられる。実際、900社以上の米機関投資家がETFを少額購入し始めており、この中にはウィスコンシン州の公的年金も含まれる。また、米国のインフレが抑制傾向となったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下…
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週刊エコノミスト
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