「報告書をぜひ読んでほしい」滝澤美帆・学習院大学教授
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5回にわたり活発な議論が展開された「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」懇談会。参加した委員に聞いた。(聞き手=浜條元保・編集部)
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国際収支というユニークな切り口の懇談会にお声かけいただき、とても有意義な議論ができた。私はマクロ経済学、特に企業行動の実証分析や生産性分析を専門にする経済学者の立場から参加した。懇談会では別の専門分野やマーケットで活躍するエコノミストからいろいろな見方や意見が聞けて勉強になった。国際収支から読み取れる日本の競争力の弱さや投資不足、ひときわ人への投資不足といった問題点では意見が一致し、再確認できたと思う。
ここ2年余り円安や貧しくなった日本という言葉がメディアにあふれ、足元の為替が国民の関心事になっている。
その観点から国際収支という専門的ではあるものの、そこから読み取れる日本の構造的な問題や課題、そしてそれらへの処方箋を報告書にまとめることができた。一人でも多くの人に報告書を読んでほしい。
資源高に加えてデジタル赤字が増え、貿易・サービス収支の赤字が常態化する中、インバウンド(訪日客)という貴重な外貨獲得手段をどう維持・発展させていくか。人口が減少するこの国で、企業の新陳代謝をいかに高め、有望な分野に人材を移動させるか。企業ではなく個人のケアを手厚くした政府の支援のもと、懇談会が結論づけた処方箋に地道に取り組むしかない。
■人物略歴
たきざわ・みほ
2002年学習院大学経済学部卒業、08年一橋大学大学院経済学研究科博士号(経済学)取得、東洋大学経済学部専任講師、11年同准教授、17年同教授、19年学習院大学経済学部准教授、20年より現職。
週刊エコノミスト2024年8月27日・9月3日合併号掲載
国際収支 「懇談会」に参加して 「報告書をぜひ読んでほしい」 滝澤美帆…
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