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週刊エコノミスト Online 日立・ソニー・パナソニック復権の道のり

パナソニックが社運を懸ける2大事業――ブルーヨンダーと車載電池 浜田健太郎・編集部

 株式市場が注目する二つの戦略事業の現状と展望をリポートする。(浜田健太郎・編集部)

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 ブルーヨンダー

ソフト主導モデルへの試金石

 パナソニックホールディングス(HD)はいま、単品のハードウエアを売り切るビジネスモデルから、ソフトウエアが主導するサービス事業への転換を進めている。最前線に立つ事業、米ブルーヨンダー社が手掛けるサプライチェーンマネジメント(SCM)サービスだ。

 2021年9月にパナソニックはブルーヨンダーを買収。約8600億円の買収額は同社では最大規模だ。買収を主導したのが、B2Bソリューション事業を手掛けるパナソニックコネクトの樋口泰行社長。樋口氏は22年の本誌インタビューで、買収の狙いについて、「ハードウエア単品ではコモディティー(汎用(はんよう)品)化のリスクが常にある。サプライチェーンのクラウドサービス化はこれから本格化すると見込まれており、当社はそのトップ企業である米ブルーヨンダー社に注目した」と述べている。

 ブルーヨンダー社は1985年に米オハイオ州でJDAソフトウエアとして創業。買収を重ねて規模を拡大してきた企業で、製造向けSCMソフトウエアの主要会社を買収(10年)。18年にドイツのブルーヨンダー社を買収して、人工知能(AI)の機能を強化した。20年にJDAソフトウエア社はブルーヨンダー社に社名変更。現在、米アリゾナ州に本社を置く。顧客はグローバル企業を中心に世界で3000社以上に及ぶ、SCM系ソフトのリーディング企業だ。

 同社の主力ビジネスは、「エンド・ツー・エンド」と呼ばれる、サプライチェーンのあらゆる領域における業務の支援ソフトを、SaaS(サース、クラウド型サービス)として提供するものだ。具体的には、AIを使い、サプライチェーン全体をソフトウエア上で可視化し、在庫や納期を最適化する。一例を挙げれば、米国のボトル入り飲料水の5割、世界のせっけんの6割のサプライチェーンに同社のソフトが使われているという。

 パナソニックのSCM事業の歴史も古い。1973年に旧松下電器産業(現パナソニック)が汎用コンピューター開発から撤退した際に、担当技術者をSCMの専用システム開発に振り向けたのが始まりだ。流通企業向けPOS(販売時点情報管理)や、物流企業向け荷物管理システムは宅配サービスの普及に伴い伸長した。パナソニックは現在も画像認識システムなどの機器群を供給する。「ブルーヨンダーのソフトとパナソニックのハードが顧客に提供するソリューションの両輪になっている」(パナソニック関係者)という。

投資段階いつまで

 買収から3年経過したブルーヨンダー社だが、累積フリーキャッシュフローはまだ赤字という。それでも、24年3月には、米ワン・ネットワーク社を約8億3900万ドル(約1260億円)で買収す…

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