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週刊エコノミスト Online インバウンド新次元

円安を追い風に急回復する訪日客 地方の受け入れがカギ 鳥海高太朗

訪日外国人で混雑する羽田空港(筆者撮影)
訪日外国人で混雑する羽田空港(筆者撮影)

 訪日旅行は予想以上の回復ぶりだが、ホテルやタクシーの不足は深刻化しそうだ。日本人客との共存も必要になる。

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 インバウンド(訪日旅行客)の回復はもっと遅れるだろうという見立てがあった。新型コロナウイルス禍からの正常化が日本は諸外国に比べてかなり遅れた。2022年10月11日にようやくビザが不要な国からのビザなし渡航が2年半ぶりに解禁され、ビザが必要な国についても観光ビザの申請が再開された。インバウンドの回復には3年近くは要すると思っていたが、円安と物価安を背景に急回復することになった。

 緊急事態宣言発令直前の20年3月は1ドル=105円前後だったが、コロナ禍が明けて外国人観光客の入国が再開した22年10月11日の時点で1ドル=145円、さらに今年6月後半には1ドル=160円を超えた。現在は1ドル=150円前後で推移しているが、為替レートだけでもこの4年でかなりの円安になっている。結果、日本を訪れるインバウンドにとっては、為替でのメリット、さらに物価も抑えられていることで割安感があり、そして何よりも食事がおいしく、街も清潔で治安も良い。今、日本を旅行しなければもったいないという感覚になっている。

 コロナ前の月間最多の入国者数は19年7月の299万人であったが、コロナ禍明け以降では22年12月に100万人を超え、24年3月にはコロナ前も超えることができなかった月間300万人を超え、3月から7月までの5カ月間、300万人台を記録し続けた。

 このペースだと24年は年間3500万人前後の外国人が日本を訪れることになりそうだ。そして25年は年間4000万人超えを目指すことになるが、日本は島国であり、クルーズ船での入国も増えてはいるが、ほとんどの外国人は飛行機での入国となる。現在の羽田空港・成田空港・関西空港などの国際線便数を考慮すると、年間4000万人前後の受け入れで目いっぱいだろう。

 最近の日本への旅行では3月・4月・10月・11月が伸びている。その理由は、桜と紅葉である。日本へのリピーターが増え、自分で飛行機やホテル、日本国内での移動(新幹線や飛行機など)を手配する個人旅行者が圧倒的に増え、特にSNS映えする桜の開花や紅葉の見ごろ時期を確認しながら飛行機やホテルを予約する人が増えている。これから、紅葉シーズンに突入するが、京都などの紅葉スポットを訪れる外国人観光客は過去最高になりそうで、オーバーツーリズムの問題が再燃するだろう。

ライドシェアの出番

 これからインバウンドをもっと増やさなければならないのが地方である。コロナ禍が明けて、これまで以上に課題が山積している。

 外国人観光客の宿泊動向は都市部に一極集中している。その理由の一つは富裕層向けの宿泊施設が地方には少ないという状況がある。日本国内では、地方も含めて1泊1万円前後で泊まれるビジネスホテルを中心としたリーズナブルなホテルは豊富であり、旅館や民宿なども含めて選択肢が多いが、1泊3万円以上、更に富裕層が望む1泊5万円以上のホテルが不足している。素晴らしい観光スポットがあって…

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