マーケット予想 2025年末に1ドル=170円 佐々木融
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2024年の米国経済も独り勝ちの様相を呈している。1年前の時点では米国経済が年後半にリセッション(景気後退)入りするとの予想が多かったが、24年7~9月期の米国実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率2.8%増となっており、24年通年でも23年に続いて3%近くの成長となりそうな状況である。「年後半にはリセッション入りする可能性がある」という見方は、23年初も同じだったので、米国経済は2年連続で市場の悲観的な見方をはね返している。
このように米国経済が強い背景には、構造的な変化があると考えている。一つには米国の保護主義が強まっているため、経済合理性がなくても米国での投資が行われている可能性がある。二つめはコロナ禍でばらまかれたお金がまだ影響力を保っていること。米国ではコロナ禍以降でマネーストック(現金通貨や預金通貨などの通貨量の残高)が4割も増えているが、物価は2割しか上昇していない。三つめはIT産業における米国企業の独り勝ちで、四つめはその恩恵を米国株急騰という形で家計が受けているということだ。
米国は利上げの可能性も
こうした状況はトランプ政権下でも続くことが予想される。一つめの保護主義は強化されるだろう。さらに、トランプ政権下では関税の引き上げ、移民の制限も行われることにより、インフレ圧力が高まる可能性が高い。従って、25年中に米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げではなく、利上げに転じる可能性も考えておく必要がある。
24年FRBは利下げを行い、日本銀行は利上げを行った結果、日米政策金利差は大きく縮小したが、ドル・円相場は逆に10円程度円安となっている。金利の動きが為替相場に与える影響を考える際には、現状の政策金利の動きから考えるのではなく、市場の織り込みを基準に考える必要がある。先物市場は依然として25年中にFRBが大幅な利下げを行うことを織り込んでいるが、24年と同様、こうした期待は大きく後退する可能性が高いと見ている。そうなると、FRBが多少利下げをしても、長期金利は上昇し、ドルは買われることになる。
日本の25年…
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週刊エコノミスト
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