マーケット予想 対イラン戦勃発すれば原油価格上振れも 新村直弘
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2025年は世界経済と原油需要をけん引している米景気が年初から春先にかけて減速した後で底入れし、その後の循環的な回復で原油価格は上昇すると予想している。コロナ禍以降に発生した高インフレも沈静化の兆しがみえ、米連邦準備制度理事会(FRB)も金融緩和にかじを切っていることも価格を押し上げるだろう。
しかし、国際通貨基金(IMF)の景気見通しでは25年の世界経済はプラス3.2%(24年は同3.2%)と成長ペースは加速せず、米国の景気見通しも同2.2%程度の伸びにとどまると予想されていることや、景気回復局面では石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の減産解除(増産)が見込まれ、価格の上昇は緩やかにとどまると予想している。ただ中国の景気が米制裁の影響で想定以上に減速する、年前半の景気減速下でOPECプラスが外貨獲得のために増産に走るといった場合は急落はあり得る。
読めないトランプ効果
また、トランプ米次期政権の経済政策の影響が不透明だ。まず気候変動対策の枠組み「パリ協定」からの離脱と、循環的な景気底入れは原油需要の押し上げに寄与し、中期的には価格を押し上げると予想される。一方、次期政権は原油生産に関しては前向きで、油田開発やパイプラインの敷設、製油所の能力拡充など、石油産業の活動を妨げるような規制をしないことは間違いがない。財務長官として有力視される投資家のスコット・ベッセント氏も28年までに原油を300万バレル増産するとしており、長期的に原油価格の上昇を抑制する方向にバイアスがかかる。
しかし、26年の米中間選挙、28年の大統領選でトランプ陣営が勝利する保証はなく、民主党政権に戻って再び化石燃料の規制がかかる可能性がある以上、企業側も結局経済合理性の範囲でしか増産をしないと予想される。
仮に次期政権が輸入関税を…
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週刊エコノミスト
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