東京市場 ストラテジストが読む 中国発の下振れリスクも=藤戸則弘
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米中の貿易摩擦は激化し、「貿易戦争」という文言もオーバーではなくなりつつある。米国の中国からの輸入総額は昨年度で約5050億ドル(55兆円超)だが、中国が強硬姿勢を取る限り、全輸入品目に高関税賦課のリスクが台頭している。トランプ大統領は、「米国は貿易交渉で中国に対して優勢であり、関税は大いに機能している」と意気軒高だ。なぜならば、足元の米国経済は、ほぼ完全雇用の状況で、4~6月期の実質GDP(国内総生産)成長率も、個人消費がけん引して前期比年率4・1%の高水準を達成している。企業業績も、4~6月期の最終利益が前年比プラス23・5%と好調だ(トムソン・ロイター)。来年下期以降には減税効果剥落からの鈍化懸念があるが、足元では好実態を背景に、米株式も堅調に推移している。
一方、中国では、「貿易戦争」の弊害が顕在化しつつある。固定資産投資や通貨供給量(M2)の伸びが、比較可能な1995年以来で最低水準となっており、内需には鈍化傾向が強い。通常であれば、人民元安誘導により輸出ドライブ政策を志向するが、そこにトランプ保護貿易策が立ちはだかっている。中国政府・当局は財政出動を示唆しているが、内需と外需の鈍化圧力を軽減するのには相当な時間と労力が必要となろう。そうした投資…
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週刊エコノミスト
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