行動する気骨の経済学者が逝った。関西大学の森岡孝二名誉教授が8月1日、慢性心不全のため74年の生涯を閉じた。

「企業経営者は、もっと働き手のことを真剣に考えなあかん」

　1990年代後半、金融危機を起点に吹き荒れる大企業の数万人規模のリストラ、さらにそれを後押しするかのように労働規制が経営者に有利なように緩和され、非正規雇用が増える状況に森岡さんは早くから警鐘を鳴らし続けた。

　1944年、大分県生まれ。香川大学卒業後、大阪外国語大学助手などを経て関西大学教授として、教壇に立った。専門は企業社会論だが、その活動はキャンパスにとどまることなく、広く社会に訴える活動を展開した。