メルケル政権を揺さぶる「内相の乱」 好調経済を浸食する難民危機の影=森井裕一
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ドイツ経済はかつてない繁栄を享受している。雇用状況を見ると2018年7月の失業率は5・1%で、1990年の東西ドイツ統一後最も良い状態だ。アンゲラ・メルケル首相が政権を引き継いだ05年の失業率は11・7%であった(図)。旧西ドイツ地域では4%台、旧東ドイツ地域では6%台と、統一後四半世紀を経ても東西間にはなお約2%の差があるものの、他の欧州連合(EU)諸国と比べてドイツ経済の強さは抜きんでている。リーマン・ショックやユーロ危機にもかかわらず、自動車や機械産業の圧倒的な強さなどを背景に、ほぼ一貫して好況を維持し、統一後最も良い状況にある。
このように、経済面では良好な状況が維持されているにもかかわらず、政権運営は困難さを増しているように見える。背景には、難民問題を巡るメルケル首相とホルスト・ゼーホーファー内相の対立がある。
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週刊エコノミスト
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