東京市場 ストラテジストが読む FRB「ハト化」は両刃の剣=藤戸則弘
有料記事
米連邦準備制度理事会(FRB)が、大幅なスタンス転換を行った。昨年12月までは、今年2回の利上げを粛々と行うことが基本方針だった。ところが1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では豹変(ひょうへん)した。「追加利上げには忍耐強く対処」との文言が盛られ、バランスシート圧縮についても、「予想よりも早期に終了し、維持する資産規模は大きくなる」可能性に言及した。わずか1カ月余りで方針の大転換だ。その背景には、第一に世界的な景況感の悪化がある。中国の減速は続き、またユーロ圏の景況感も一気に悪化した。米国も足元は堅調ながら、トランプ減税の剥落が想定される年後半には鈍化が警戒されている。
第二には、株価下落による「逆資産効果」への警戒感だ。12月FOMC後には、市場を突き放したようなFRBの硬直的なスタンス表明で、米国株はクリスマス前後にかけて急落となった。米国GDP(国内総生産)の約7割は個人消費であり、また個人金融資産に占める株式資産のウエートは35・7%に達している(昨年9月末時点)。株価の一段の下落は個人消費の鈍化を招き、実体経済への波及が憂慮される展開となった。したがっ…
残り407文字(全文898文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める