週刊エコノミスト Online迫る景気後退 世界経済入門

Qユーロ圏の混迷の原因は A「規律」なき政策運営の弊害=川野祐司

高まる市民の不満と失望

 ヨーロッパには言語や文化の異なる50カ国が存在し、主要産業や生活水準などの経済状況は大きく異なる。EUの前身である欧州共同体(EC)はヨーロッパの平和を目的に設立された。当初は6カ国が参加したが、次第に加盟国が増加する「拡大」と協力体制を強化する「深化」を遂げた。

 1968年には域内の関税を廃止する関税同盟が成立し、 93年にはEUが発足して人・財貨・資本・サービスが自由に国境を越えて移動できる単一市場が誕生した。 90年の東西ドイツ再統一により東ヨーロッパに広がることとなり、2004年には旧ソ連邦諸国も加盟した。19年現在、EUにはイギリスを除く27カ国が加盟し、ノルウェーなど域外の3カ国も単一市場に参加している。99年に導入された通貨ユーロは19カ国にまで広がっている。

 EUは競争政策など幅広い分野で活動しており、EUが作った法律は加盟国の法律に優先される。脱退を通告したイギリスは法律の制定プロセスに加われないが、交渉・移行期間中はEUの法律に拘束される。19年5月には欧州議会選挙があるが、欧州議会は欧州委員会が作った法案を閣僚理事会とともに審議する役割を担っている。今回の選挙では反EUや反移民・難民を唱えるポピュリスト(大衆迎合主義)政党が躍進すると見られてい…

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