週刊エコノミスト Online迫る景気後退 世界経済入門

Q中東の盟主は Aサウジは「普通の国」を標榜=玉木直季

ムハンマド皇太子は内政と経済外交で一定成果(Bloomberg)
ムハンマド皇太子は内政と経済外交で一定成果(Bloomberg)

米国抜きの融和を目指す

 サウジアラビアの国王は自らを「(イスラム世界の)二大聖地の保護者」と呼び、中東の盟主を自認してきた。二大聖地とは同国内のメッカとメディナのことである。

 サウジは建国(1932年)から歴史が浅いものの、日量1000万バレル超という原油生産能力の大きさから世界の需給・価格を調整するスイング・プロデューサーとして台頭し、20世紀後半は中東の盟主と呼ばれた。

 ただ、2015年1月にサウジ王位を継承したサルマン国王は、三つの苦悩を抱えていた。低価格に張り付いた「新常態」の油価、米国の中東離れ、イランの台頭、である。これらの問題が遠因となって王家に対する国民の不満が増大しないよう、経済、政治、外交で打開策を模索した。その結果が、明るい未来を示した経済改革計画「サウジ・ビジョン2030」、及びイランの影響力拡大の阻止である。

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